森由岐子「柩の中の家」(1988年10月13日第1刷発行)
「T県T郡の人里離れた山奥。
朝吹しほりは、兄を探すため、兄の親友の司馬拓也と共に、その地を訪れる。
しほりの兄、京介は芸能レポーターであり、霧島葉子(通称キリコ)の行方を追ううちに、消息を絶った。
霧島葉子は人気絶頂の美人女優であったが、突如引退し、姿を消す。
しほりと拓也は、その地で彼女を目撃したという情報を頼りに、山奥に入っていく。
日が暮れ始めた頃、気味の悪い沼のあたりで、二人は霧島葉子の姿を目にする。
逃げる彼女を追うと、山奥に一軒家があった。
その家には老婆と中年の女性が二人だけで住んでおり、老婆は、しほりと拓也を泊めることを拒絶する。
だが、通り雨で熱を出した、しほりを見かねて、中年の女性は二人を中に招き入れる。
ようやく人心地がついた二人であったが、この家はおかしなことだらけであった。
まず、この家にはトイレがない!!
また、表情が憎しみのこもったものへと変化していく霧島葉子の肖像画。
そして、しほりの前に現れる、顔中、こぶだらけの青年。
恐怖に満ちた一夜を過ごすものの、二人はこの家に、朝吹京介の消息の鍵が隠されていると感じ、滞在を強行する。
しかし、二人には霧島葉子の怨念が襲いかかることとなる。
霧島葉子の秘密とは…?」
怪作中の怪作「魔怪わらべの唄」(ヒバリ・ヒット・コミックス)に続いて、「トイレがない!!」と戦慄する作品です。
「魔怪わらべの唄」はSF(なのか、アレ…?)でしたが、こちらは森由岐子先生十八番の「怨霊もの」ですので、そこまでハジケ飛んではおりません。
また、ラストでは、一応、トイレのない理由が説明されております。
・備考
小口シミ。
2018年12月17日 ページ作成・執筆