菊川近子「悪魔の招待状」(1983年1月15日第1刷・1987年9月15日第23刷発行)

 収録作品

・「悪魔の招待状」(藤本ひとみ・原作/「昭和57年発行 ハローフレンド8〜10月号」所載)
「家出した桐原智恵子が精神錯乱を起こした状態で発見される。
 智恵子の親友の伊藤友美は、智恵子から小さな鍵を手渡される。
 友美は、智恵子が、若い女性向けの宗教団体『幸せの園』に入ったのでは推測する。
 そこで、友美は、新聞部の沖と協力して、『幸せの園』に潜入する。
 表面上は、厳格な修道院といった趣だが、その裏に恐ろしい秘密が隠されていた…」

・「笑うマリアンナ」(「昭和57年発行 週刊少女フレンド第22・23号」所載)
「秀美と、新しく転校してきた桂子は親友同士。
 まだ町に慣れていない桂子を、秀美は承慶寺に案内する。
 このお寺は人形の供養を請け負っていて、寺で預かっている人形を虫干ししている最中だった。
 どれもいわくや因縁のある人形ばかりだったが、一つだけ美しい少女の西洋人形があった。
 その人形を見た途端、桂子の顔色が変わる。
 気分の悪くなった桂子を庵主が奥に休ませに行っている間、秀美は魅せられたように西洋人形を盗んでしまう。
 その夜から毎夜、秀美は何かに絡みつかれて、締め上げられる夢を見るようになる。
 秀美は次第に憔悴していき、家族にも不幸が起きる。
 そのため、家で独りで過ごすことになった秀美の目の前で、西洋人形は本性を現すのだった…」

 KCフレンドで発行された、菊川近子先生の単行本の中で、「百の眼が見ていた」と並び、代表的なものでしょう。
 無節操なまでのトラウマ描写を畳み掛けてくる名作「悪魔の招待状」に、人形ものの大傑作「笑うマリアンナ」と、内容の面では「百の眼が見ていた」より上だと思います。
 マーガレットで連載された「赤い爪あと」から、これらの作品まで、少女向けの怪奇マンガに与えた影響は測り知れないものがあります。
 また、読者に与えたトラウマも…。(小学生の頃、この単行本を持ってました。かなり覚えておりました。)

平成27年5月24日 ページ作成・執筆

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