曽祢まさこ「妖精旅行」(1977年7月5日第1刷発行)

・「プロローグ」
「イギリスのソールズベリにある田舎町。
 町外れのお屋敷にもと貴族のコンウェイ家が住んでいた。
 コンウェイ家の一人娘ルネと、代々コンウェイ家に使える使用人の老婆の孫息子クライドは相思相愛の仲。
 しかし、二人の仲をルネの父親に知られ、クライドは一財産を稼ぎに親戚のいるドイツへ渡る。
 三年後に帰ってくるというクライドの言葉を信じ、ルネは待つが、一年後、クライドの祖母が急病で倒れる。
 ルネはクライドに手紙を出すが、手紙は転居先不明で戻ってくる。
 クライドの安否が気にかかるルネは、ドイツへ向かうのだった…」

・「第一話 幽霊館に朝が来た」
「ドイツのハンブルグに着いたものの、クライドの勤めていた会社は倒産、クライドはスイスに移ったと聞かされる。
 ぎりぎりの旅費しか持って来ていなかったルネはヒッチハイクでスイスに向かおうとするが、途中でほっぽり出され、ある廃屋で夜を過ごすこととなる。
 そこにはアルファルという妖精が、ネズミたちと一緒に住んでいた。
 彼は、仲間のいるらしい南部に行きたいのだが、長い間、この家に住んでいたため、外に出ることが怖く、加えて、高所恐怖症なのだと言う。
 アルファルはルネに一緒に連れて行って欲しいと頼むが、ルネは妖精など連れて旅はできないと拒否して、寝てしまう。
 その夜、廃屋に、逃亡中の強盗犯が訪れる…」

・「第二話 アルプスが見ていた」
「スイス、中央アルプスの谷間にある町、ブルンネンワルトに到着したルネとアルファル。
 クライドが働いていたホテルに向かうが、クライドは盗人の疑いをかけられて、ホテルを追い出されていた。
 ホテルの主人が大切にしていた、妻の形見のエメラルドのブローチをクライドが盗ったと言うのだ。
 クライドの無実を晴らすために、ルネはホテルに滞在し、アルファルの協力を得ながら、情報を集める…」

・「第三話 パリより愛をこめて」
「パリに着いたルネとアルフィルは、安アパートに居を構え、日々、クライドを捜す。
 ある日、ルネの部屋を覗き見した隣人は、妖精のアルフィルを目撃。
 アルフィルを手に入れて、金儲けしようと画策する…」

・「第四話 迷い星の夢」
「クライドの足取りを掴んだルネは、クライドの後を追う途中、リヨン駅でアルフィルの入ったバスケットを男の子に奪われてしまう。
 バスケットを盗んだのは、ドミという男の子で、妹のロールと一緒だった。
 食べ物が入っていると思っていたら、妖精が入っていたので、最初は驚くものの、ロールはアルフィルとすぐに仲良くなる。
 二人は、長い間、顔を見ていない父親に会いに母親に内緒で出てきたと言うのだが…」

・「エピローグ」
「クライドを追って、マルセイユへ。
 クライドはヨーロッパを離れ、アルジェに向かおうとしていた。
 岸を離れた船へルネが呼びかけても、クライドに声は届かない。
 アルフィルは一大決心をして、クライドのいる船に飛んでいくが…」

平成27年6月24・25日 ページ作成・執筆

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