成毛厚子「怪 霊体験日記」(1992年2月13日第1刷発行)
収録作品
「怪 霊体験日記」
・「第1話 待ちあわせ」
「友人との待ちあわせ場所の公園に急いで向かう少女。
友人から遅刻を責められるかと思いきや、友人はまだ来ていなかった。
仕方なく友人を待つが、その時、小さな男の子にボールを捜すよう頼まれる。
せがまれ、男の子に付いて行こうとすると、怪しい浮浪者に声をかけられ、少女は男の子と一緒にその場から逃げる。
待ちあわせ場所から少し離れたところでは、子供達がままごとをしたり、サッカーをしたりしていた。
とりあえず、子供達の遊びに付き合うことにするが、どうも様子がおかしい。
男の子達の遊んでいるボールが、女の子達がままごとで作る料理が…」
・「第2話 やつら」
「予備校に通うK子は、将来の夢は絵本作家という、夢見る少女。
無味乾燥な受験勉強に飽き飽きし、授業中にこっそりフランスの絵本を読んでいると、何かの視線を窓ガラスに感じる。
友人を家に誘って帰宅すると、冷蔵庫にあったプリンがぐちゃぐちゃに潰されていた。
友人は「やつら」の仕業だと言うが、「やつら」とは一体何なのだろうか…?」
・「第3話 廊下の足音」
「バスケ部で活躍する男子生徒からラブレターをもらった女生徒。
彼女は待ちあわせ場所の、夏休みで無人の教室で彼を待つ。
しかし、彼は来ず、そのうちに天候は急変、雷雨になりそうな空模様となる。
そこに姿を現したのは、バスケ部の女子部員二人。
彼女達は女生徒に、今日は三年前にいじめと冤罪を苦に自殺した女生徒の命日であることを話す。
怯える女生徒は、ラブレターを出した男子生徒がいるという用具室に向かうが…」
・「第4話 バイ菌がいっぱい」
「病的なまでに清潔症の諸井マミ子。
母親に言われて、仕方なしに高校へ出席するが、周囲の人間は皆、不衛生に感じて、耐えられない。
不衛生扱いされた女生徒達は頭に来て、マミ子へある悪戯をする…」
・「第5話 天使のような……」
「ある時、哲也はデパートの屋上の望遠鏡で、パンチパーマの男に少女が暴力を受ける光景を目撃する。
哲也は少女に恋心を覚え、デパートに訪れては、望遠鏡で少女の姿を見つめ、少女は彼に向かって助けを求める。
哲也は、少女の住む家を捜し出して、少女を救おうとするが、どうしても見つからない。
いつものように望遠鏡を覗いていると、デパートの従業員が彼に声をかける。
その望遠鏡は壊れていたのだった…」
・「第6話 奇跡の砂」
「美江は小物屋で、恋を叶えるというミラクルサンドの入った小瓶を買う。
小瓶を身に付けてから、美江は見知らぬ子供の姿を目にするようになる。
ミラクルサンドの秘密とは…?」
タイトルからして、霊感少女がどうのこうの…といった内容を想像するかもしれませんが、良質な短編を六つ収録した短編集です。
どれも非常に「上手い」のですが、個人的な好みを言うと、「やつら」と「天使のような……」です。
平成27年4月20日 ページ作成・執筆