曽祢まさこ「殺す月」(1996年11月13日第1刷・1997年9月20日第2刷発行)

 収録作品

・「殺す月」
「アメリカ北東部の寂れつつある町、ホリィグレン・シティ。
 ある夜、町の空に、血のように赤い月が昇る。
 何の前触れもなく、人々は殺人鬼となり、容赦なく他の人を襲い始める。
 狂った母親に父親を殺された、リンジーとその姉弟は町から脱出を図るが…」
 ええっとですね〜…
 私、こういう話が大好きなんです!! ただひたすらムヤミヤタラに好きなんです!!
 断言します、「エクセレ〜ント!!」(とは言うものの、80ページちょっとというボリュームは寂しい限り。単行本10冊ぐらいまでやって欲しかったものです。)
 第一、「赤い月が昇ると、町の人間が殺人狂になる」…って、B級もB級、ストレートでいいじゃないですか!!
 ここまでど真ん中直球だと、(御茶漬海苔先生と関よしみ先生以外)誰も描かない内容ですので、逆に非常に貴重です。
 黄色い霧に包まれた人間が発狂しまくる、ジェームズ・ハーバート「霧」の影響があるような気がしますが、相変わらず、気のせいかもしれません。
 ちなみに、この作品を読む時には、FRACTION「Moon Blood」(1971/Angelus)をかけておくと、趣が倍増する…のか…?
(FRACTION「Moon Blood」のオリジナル盤が3000$以上もするって、本当なのかどうか、詳しい方がおられましたら、教えてくださいませ。)

・「最後のゲーム」
「私立女子高中等科の仲良し四人組、理沙、舞、さや子、そして、主人公のわたし。
 彼女達の密かな楽しみは、一人暮らしの理沙の部屋で催される「指令ゲーム」。
 それは、ある命令を書いた紙を箱の中に入れ、その紙を引いた者がその命令に従わねばならないというゲーム。
 その命令を達成しなければ、ペナルティーとして、次の指令ゲームまで、皆のドレイになってしまう。
 ある冬の日、理沙がある提案をする。
 それは、引いた「指令」をその時は秘密にして、二週間後に「指令」を公表しようというものだった。
 そして、主人公のわたしが引いた紙に書かれていた「指令」とは…」

・「閉ざされた闇」
「川田恭子は、幼い頃、エレベーターに閉じ込められたことがトラウマとあり、重度の閉所恐怖症。
 素直だけが取り得の、目立たない少女だが、才女の美津江と「友達」であった。
 美津江の友人のみどりは、恭子を毛嫌いし、放課後、恭子を美術準備室に閉じ込めるのだが…」

・「忘れられた教室」
「取り壊されることが決定した、ある中学校の旧校舎。
 そこは、心中した中学生カップルの霊が出ると噂される場所であった。
 その事件と係わりのある藤井みさをは、その旧校舎を訪れる。
 自分の恋人であった男性と、親友だった女性が睡眠薬自殺をした教室で、みさをは過去を振り返る。
「ロミオとジュリエット」に似た事件の真相を…」

平成27年7月10日・9月8日・9日 ページ作成・執筆

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