のなかみのる「霊感少女あやの 骨骨」(1991年11月13日第一刷発行)

 高校二年生の柏木あやの(16歳)は霊感少女。
 彼女が遭遇する奇怪な事件の数々とは…。

・「霊障1 嫁入りの沼」(「月刊パンドラ」)
 あやのは登山同好会のキャンプに参加する。
 だが、キャンプ地に近づけば近づくほど、彼女の不安は増すばかり。
 キャンプ地の近くには、立ち入り禁止の沼があり、そこに、助けを求める何かの気配を感じる。
 その夜、あやのは、沼から花嫁衣裳の女性が顔をのぞかせている夢を見る。
 彼女がテントを出ると、沼のある方の森の上にはたくさんの人魂が舞っていた。
 そこに、女子部員達の憧れの柳沢徹が現れ、あやのは人魂を指さすが、人魂は消えていた。
 それを目撃した三人の女子部員はコックリさんで二人の関係を占う。
 しかし、そこに現れたのは、別の霊で、女子部員の一人が行方不明となる。
 沼に潜む霊の正体とは…?」

・「霊障2 湖底に沈む声」(「月刊パンドラ」)
 あやのは、クラスメート達と貯水ダムを訪れる。
 そのダムの底には村が沈んでいた。
 あやのはこの場所を危険に感じるが、その予感の通りに、ダムの付近でバイクに乗った高校生が事故死する。
 更に、ダムにいた何かは学校にまでやって来て、葵という男子生徒にとり憑く。
 行方不明になった葵を捜しに、あやのはダムへと向かうのだが…。
 ダムに沈んだ村で起こった悲劇とは…。」

・「霊障3 骨骨」(「月刊パンドラ」)
「六年前、柏木あやのが小学五年生の時。
 その頃、彼女はとある田舎町の、駅の踏切に近いアパートに住んでいた。
 隣には、仲の良い老夫婦が住んでおり、あやのの家族と親しく付き合っていた。
 ある雨の夜、酒が切れたのに気づき、足の悪い爺様の代わりに、老婆が外に買いに行く。
 だが、帰り道、踏切にさしかかったところで、轢き逃げにあう。
 老婆は生きていたものの、線路に放置され、列車がその両足首を切断、出血多量で死亡する。
 その両足首は発見されず、以来、その踏切では老婆の幽霊が出るようになり…」

・「霊障4 無断駐車」(「月刊パンドラ」)
「柏木あやのが小学四年生だった時。
 ある夜、あやのの親友で双子の羽原かなこ・ゆきえが火事で焼死する。
 あやのが二人の死を悲しんでいると、双子の幽霊が彼女の前に現れる。
 二人の幽霊に導かれ、あやのはケンとトシオの二人組が住むマンションを訪れる。
 あやのは二人に墓参りするよう言うものの、火事なんか何の関係もないと、ケンとトシオはあやののお願いを無視。
 しかし、二人の身の回りでは奇怪な出来事が起こり始める。
 その理由とは…?」

・「霊障5 見たくなかった光景」(「BE・LOVE」増刊ナイトメア」)
「幼い頃から霊体験や恐怖体験にたくさん遭遇した、のなかみのる先生のショート・エッセイ」

 永井豪先生のアシスタントをしていたこともあるベテラン、のなかみのる先生は怪奇マンガとも非常に縁の深い御方です。
 ただ、怪奇マンガはマイナーな雑誌に掲載されたものが多く、単行本化されていないものが多いので、ちゃんとした評価を受けてない印象を持っております。
 その中で「霊感少女あやの」シリーズは手堅くまとまった良作だと思います。(他にも単行本未収録のエピソードはあるのでしょうか?)
 ベスト・エピソードは、実話をもとにした「骨骨」。
 両足のない老婆の幽霊はかなりの迫力ですが、コピーで済ましているのが残念…。
 あと、エッセイ風の「見たくなかった光景」はかなりヘビーな内容です。
 こういう体験が怪奇マンガに活かされているのかも…と考えながら読むと、非常に興味深くありました。

2020年8月10日・2022年1月2日 ページ作成・執筆

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