つのだじろう「恐怖新聞・平成版」(2003年11月17日第1刷発行)

・「第一話 恐怖の携帯メール」
「序章:文字化けメール」
 鬼形礼は平凡な中学生。
 ある夜、彼の携帯電話に奇怪なメールが届く。
 それには未来を教える代わりに、購読料をして寿命を百日ずつもらうと書かれてあった。
 イタズラと思っていると、携帯電話に電話がかかってくる。
 その相手は、彼がニ十数年前に死んだ同姓同名の少年の生まれ変わりだと指摘し、そういう宿命だと告げて切れる。
 このメールは「恐怖新聞メール」と言われ、日本全国に広がっているという噂なのだが…。
「第1章:携帯をこわせ!」
 鬼形礼は如月女学院の風間みゆきと知り合う。
 彼女もまた「恐怖新聞メール」にとり憑かれ、墓場に呼び出されていた。
 鬼形は彼女に携帯電話を壊すよう勧め、自分も携帯電話を叩き壊した後、川に捨てる。
 だが、その夜、部屋の窓ガラスを突き破って、恐怖新聞が届けられる。
 恐怖新聞には風間みゆきの失踪が報じられていた…。
「第2章 女学生死亡?」
 鬼形礼は保険医の日高先生と、その母で霊能者の日高霊舟の協力を得る。
 みゆきの霊的波動は西の方角、そして、その場所から白い教会が見えると教えられ、鬼形はその場所を探す。
 その際、みゆきの友人達に協力を仰ぐが、それによって、彼女達も巻き込まれることに…。
「第3章:豪雨の中で…」
 鬼形は悪霊による事故で死にかけるが、気が付くと、自分の部屋のベッドに寝ていた。
 起きた時、テレビのニュースで鬼形の巻き込まれた事故を報じていて、風間みゆきの死を知る。
 彼がショックを受けていると、日高先生から彼に電話がかかる。
 日高先生は恐怖新聞から逃れる方法があるかもしれないと話し、彼に霊願寺に来るよう誘う。
 雨が降り出す中、彼は霊願寺を訪れ、日高母子と会う。
 そこに恐怖新聞が届くのだが…。
「第4章:ふたり鬼形?」
 真相を知り、鬼形礼は逃げ出す。
 だが、それも罠であった。
 雨の降る中、道路の真ん中で彼はもう一人の自分と出会うのだが…。
「終章:恐怖は終わらない」
 鬼形礼は風間みゆきの告別式に参加するため、霊願寺に向かう。
 ところが、彼に風間みゆき殺害の疑いがかかっており…。

・「第二話 猫女御の怪」
「第1章 街のうわさ」
 巷に広がる猫女の噂。
 猫女は猫を使って呪いをかけ、その姿を見ると病気になるか死ぬと言われる。
 そして、この噂の発信源は「恐怖新聞メール」であった。
 ある夜、鬼形礼の家にいとこの三浦祝子がやって来る。
 彼女は飼い猫のヒロシゲを捜し、遅くなり、鬼形の家を訪れたのであった。
 また、彼女は猫女の夢を見た際に、猫女から鬼形礼に届く恐怖新聞にヒロシゲの情報が載っていると教えられたと話す。
 その夜、届いた恐怖新聞に書かれていた記事とは…?
「第2章 ペットショップ」
 放課後、鬼形は友人に誘われ、釣り堀に行く。
 ここは赤堀というペットショップが経営し、店の裏にあった。
 前回はたくさん連れたらしいが、今回は釣れないまま、日が暮れる。
 ふと鬼形が向こう岸に目を向けると、猫女がいた。
 その時、友人の釣り竿に何かかかるのだが…。
「第3章 暗闇坂の恐怖」
 帰宅後、鬼形がシャワーを浴びると、部屋に恐怖新聞が届けられる。
 それには、祝子が今夜、泉河原中学校の裏にある暗闇坂に猫を捜しに出かけたと書かれてあった。
 暗闇坂は有名な心霊スポットで、鬼形は彼女を心配して、泉河原中学校にまで出かける。
 校舎の中のトイレで、祝子と飼い猫を見つけるも、彼女は何かにとり憑かれていた。
 彼女の姿が消えると、新聞配達の霊が現れる。
 新聞配達の霊によって鬼形は、学校の裏手にある滝口犬猫病院に連れてこられる。
 滝口犬猫病院は廃墟となっているが、恐怖新聞によると、「猫女御」の噂の発生源で、院長の滝口美馬が自殺後、「猫女御」となったらしい。
 廃墟に入ると、鬼形は、祝子が見知らぬ女医と写っている写真を拾う。
 その奥に人の気配があるが…。
「第4章 祝子が死んだ!?」
 廃病院の地下室で、鬼形は猫女御の姿を目撃する。
 彼女は大勢の猫を前に、人間に飼ってもらい、嘗めるよう指示を出していた。
 猫女御と猫たちが姿を消した後、祝子が倒れているのが目に入る。
 鬼形は新聞配達の霊に頼み、鬼形と祝子は、廃病院に住みつくホームレスの赤堀サキのもとに送られる。
 二人は救急車で病院に運ばれるが、医師や看護婦に異変が…。
「第5章 霊安室」
 新聞配達の霊に祝子を蘇生させる方法があると唆され、夜中、鬼形は霊安室を訪れる。
 だが、そこで鬼形は祝子のゾンビに襲われ、病院から逃げ出す。
 明方、鬼形は猫を引き連れる猫女の姿を目にする。
 恐怖新聞によれば、彼女の後をつければ、猫女の正体は判明するというのだが…。
「第6章 猫女御とは?」
 『猫女御』『悪霊菌』『滝口犬猫病院での実験』『猫』『ペットショップ』…これらのキーワードが鬼形の頭の中で結びつく。
 その時、母親が高熱で倒れたことを新聞配達の霊に知らされる。
 しかも、倒れた場所は赤堀ペットショップの前であった。
 鬼形はペットショップへと急いで向かうのだが…。
 猫女御の正体は…?
 そして、その目的とは…?

 平成時代に描かれた「恐怖新聞」(注1)ですが、あまり人気が出なかったのか、それとも、作者の体力的な理由か、二話で終了しております。
 時流に従い、携帯電話やパソコンを取り入れてはおりますが、そこまで深く扱われず、メインはやはり新聞なのは安心です。(令和になっても、新聞であってほしい。)
 ともあれ、初代鬼形礼の霊まで出ているのに、大した活躍はせず、結局、壮絶なバッド・エンドを迎えるのには、如何なものか…と思いました。
 ただ、二話目の「猫女御の怪」はペットがもたらす感染症に警鐘を鳴らす内容で、つのだ先生の本気が伝わってきます。(でも、正直、ストーリーは分裂的です。)
 コロナ・パニックを経験した今、読んだら、恐ろしさは倍増かもしれませんね。
 とりあえず、つのだじろう先生が猫嫌いっぽいのはよく伝わりました。

・注1
 ちなみに、この頃、PS2で「恐怖新聞」がゲーム化されたようなので、それでつのだ先生が張り切って、新作を描いたのかも。

2023年2月19・22日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る