犬木加奈子「笑う肉面」(1996年3月13日第1刷発行)
収録作品
・「笑う肉面」(平成6年発行「月刊少女フレンド12月号増刊 サスペンス&ホラー」所載)
「安売りストアで成り上がった金持ちの娘、城北デン子。
徹底した唯物&拝金主義者である彼女の憧れは、絵に描いたような美男美女のカップル、サユリとサトルであった。
しかし、美しい外見の裏に、サユリは、父親は借金を残して失踪、母親は病床、弟は非行と、家庭の事情を抱えていた。
サトルに惚れているデン子は、父親をそそのかし、サユリの顔を買おうと画策。
背に腹を換えられず、サユリはデン子の提案を飲み、顔の皮膚を入れ替える手術が行われる。
しかし、それはサユリとサトルの間の愛が如何にもろいかを試そうとする、デン子の企みが秘められていた…」
何度、怪奇マンガのモチーフされたかわからない、フランス映画「顔のない眼」。
観たのは云十年前ですが、記憶によると、幻想的な描写はあまりなく、即物的(リアル)な描写で占められていたようです。
ですが、この映画が日本に移植されると、「呪い」や「祟り」といったものが絡んだものが多いような印象があります。
これはやはり、日本の「湿度」のなせる業なのでしょうか?
「湿度」が高じて、「腐臭」まで発する感のある、本作品のラスト…ヘビーです。(褒めてます。)
・「もういいかい」(平成6年発行「月刊少女フレンド12月号増刊 サスペンス&ホラー」所載)
「帰り道、鬼ごっこをして遊ぶ、小学生の女児四人。
鬼に選ばれたのは、中で一番トロいために、いじめられているスギ子という女の子であった。
スギ子が目を隠して、数を数えている間に、三人はスギ子を放って、そのまま家に帰ってしまう。
だが、翌日、スギ子は行方不明となり、怒られることを恐れた三人は前日のことを秘密とする。
時が過ぎ、中学生になった三人は、スギ子が行方不明になった路地で鬼が出るという小学生達の噂を耳にする。
間もなく、その路地を通った一人の行方がわからなくなる。
そして、また一人…」
・「ペットのいる部屋」(平成6年発行「月刊少女フレンド12月号増刊 サスペンス&ホラー」所載)
「いろんな動物が大好きな少女、テル子。
念願の一戸建て住宅に越したものの、その家は線路の側で、ペットがいつかない。
ある日、彼女が窓を開け、自分の部屋で昼寝をしていると、猫がやって来る気配を感じる。
警戒されないように、テル子がずっと寝るふりをしていると、以降、猫が彼女の昼寝の最中に部屋を度々訪れるようになる。
猫はテル子に慣れていっているようだが、さて、その正体とは…?」
稲川淳二氏の怪談トークで似たような話を聞いたことがあります。
この作品や怪談トークのもととなる話(もしくは都市伝説)があったのでしょうか?
・「暗闇童話集」(平成6年発行「月刊少女フレンド1月号増刊 サスペンス&ホラー」所載)
「第1話 眠れぬ森の…」
鬱陶しい現実から逃れて、ずっと眠り続けていたいと望む少女。
しかし、彼女が眠りかけると、どこからか奇妙な人々が現れ、その度に恐怖で彼女は飛び起きてしまう。
掴みどころのない現実の中、彼女は何度も眠りに就こうとするのだが…」
「第2話 だるまさんが笑ったよ」
公園もろくにない町場の子供達の遊び場は、交通量の多い道路。
そこで遊ぶ子供達は一人の見なれない女の子が混じっていることに気付く。
いくら追っ払っても、いじめても、その子は満面の笑みを崩さず、皆に一緒にいる。
そんなある日、その子が皆に「にらめっこ」を持ち掛ける…」
「第3話 残酷な神さま」
空腹を覚えた少女が目を覚ますと、見馴れぬ世界にいた。
砂と岩だらけの所を、奇妙な服装の女性達がただただ行き来している。
中には、身体が腐った女性もいて、その女性は皆に貪り食われてしまった。
聞くところによると、この世界は「気まぐれで残酷な神」に支配されているらしいのだが…」
「第4話 ウソつき」
ふき子は、重度の見栄っ張り。
一般庶民な自分の親や生活がいやで、セレブな家庭であるとホラを吹きまくる。
が、ボロだらけで、クラスメートにからかわれる毎日。
ある日、ひょんなことから、ついたウソが本当になってしまう。
映画スターの父親に美人なママ、そして、立派な豪邸。
ふき子は今まで自分をバカにしてきたクラスメート達を家に招くのだが…」
・「(犬)温泉に行く」(平成7年発行「月刊少女フレンド4月号増刊 サスペンス&ホラー BEST OF BEST 犬木加奈子」所載)
犬木加奈子先生が、日野日出志先生、谷間夢路先生、御茶漬海苔先生、蕪木彩子先生、空路先生、神田森莉先生といった錚々たるメンバーを温泉旅行に行ったリポートです。
上半分に、日野日出志先生等のゲストのマンガと文章で、下半分が犬木加奈子先生のマンガと文章という構成となっております。
今となっては、20年前の記事であり、時の流れにいうものにちょっぴりしみじみしてしまいます。(あの頃は私も若かった。そして、今以上に「タワケ」でした…。)
2016年12月31日 ページ作成・執筆