犬木加奈子「口裂け女伝説2」(1997年6月13日第1刷発行)

 収録作品

・「口裂け女伝説2」(掲載雑誌等、記載はあるが、ページの狭間に埋もれ判読できず)
「母親が口裂け女という噂を立てられていたサクラが再び学校に出る。
 だが、サクラは決してマスクを外そうとせず、亡くなった関谷先生の代わりに新しい担任になった河合という女教師は不審に思う。
 体調不良を理由に早退したサクラが帰宅すると、家には口裂け女が待っていた。
 サクラの親は口裂け女によって行方知らずとなり、母親代わりに家に居座った口裂け女は自分の噂を流すよう、サクラを強要していた。
 また、同じように口裂け女にされた、親友のサク子(前作で口裂け女にさらわれた女の子)もそこへ連れて来られる。
 無関係のサク子まで被害が及んだことに、サクラは口裂け女を退治することを決意。
 口裂け女が人の噂を生命源にしていることに気付いたサクラは口裂け女を追い詰めるが、過って河合先生を傷つけてしまう。
 口裂け女は、自分の知っている病院に行くよう提案し、そこにはサクラの母親もいると話す。
 サクラと河合先生は、口裂け女の案内で、病院に向かうが、そこは十年以上も前に潰れた病院であった。
 そこで、サクラは自身の出生の秘密を知る。
 そして、口裂け女の誕生秘話も明らかとなる…」
 名作「口裂け女伝説」の続編であります。
 続編の方はあまり評判を聞かない気がするのでありますが、理由は恐らく「やり過ぎ」にあるのではないか…と推測しております。
 チャックで口を開閉できるようにしているサク子や、顔面崩壊している口裂け女の描写等、あまりに力入り過ぎていたのか、「ゲテゲテ」した方向に大暴投しております。
 でも、私は前作よりもこちらの方が遥かに好みです。
 傍から見たら楽しそうな、個性豊かなフリークス達が勢ぞろいする病院の描写はまさしく「FUNHOUSE」!!
 犬木加奈子先生独特の絵柄で、凄まじい奇想が弾け飛んでいる様は、至福としか形容できません。
 あと、相変わらず、残酷描写はヘビー。
 ハサミやフォークといった凶器を使った、生理的に不快度の高いものですので、注意が必要です。

・「理科室の赤ちゃん」(平成9年発行「月刊少女フレンド1月号増刊「サスペンス&ホラー」特集号」所載)
「理科準備室に閉じ込められた、チカ子とマスミ。
 彼女達は、理科準備室にあると伝わる、赤ん坊のホルマリン漬けを探す。
 赤ん坊の泣き声に手がかりに、その瓶を見つかるが、中には、部分的にしか育たなかった胎児が入っていた。
 中の胎児が動いたことに驚き、チカ子はその瓶を過って割ってしまう。
 その時、胎児から放たれた何かがチカ子の首の後ろに飛んで、付着する。
 以来、その部分は腫れ、次第に肥大していく。
 一方、マスミもどんどん痩せ、腹が膨らんでいく。
 二人の身に一体何が起こったというのであろうか…?」
 個人的に、傑作だと思います。
 ストーリーといい、台詞回しといい、恐らく、男には描けないマンガでありましょう。
 実のところ、モンスター・マンガでして、ラストには度肝を抜かれました。(マジで。)
 こんなところに、少子化を解決する鍵があったなんて、「母なる自然」とはよく言ったものです。(テキト〜言ってます。)
 それから、この作品、手塚治虫先生の「ブラックジャック」の影響があるように見受けられました。
 「ブラックジャック」が怪奇マンガに与えた影響というものはかなり大きかったように思いますが、私、「ブラックジャック」を大して読んでいないのであります。
 この件に関しましては、漫画全般に対して理解が深い方の検証を待ちたいと思います。

2016年11月7日 ページ作成・執筆

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