高階良子「化石の島」
(1976年12月4日第1刷・1982年8月10日第22刷発行)
収録作品
・「化石の島」(「なかよし」1976年6月〜8月号掲載)
「見習い記者の美保は、大人気の若手レーサー、聖光太郎と知り合う。
彼には、傷がすぐに再生するという特異体質があり、また、彼の周囲には、爬虫類のような怪人物が出没していた。
それにも関わらず、美保は彼に惹かれ、彼も、スポンサーのお嬢様を捨てて、美保を愛する。
二人は結婚し、美保は妊娠。
幸せの絶頂の最中、かつての恋人の陰謀により、光太郎は事故を起こし、両足を切断する。
だが、手術の直後であるのに、光太郎は病院から姿を消す。
彼の行方は掴めないまま、半年後、美保は男児を出産する。
産院で眠る美保のもとに、光太郎が現れ、彼女に別れの口づけをし、赤ん坊を連れて去る。
彼女は、光太郎と赤ん坊に再会するため、彼の生まれ故郷、聖島に向かう。
そこは、沖縄から更に南にある、種々様々なトカゲの棲息する島であった。
島にはトカゲ人間が住むと言われているが、彼らの秘密とは…?」
・「血の花の伝説」(1976年「なかよし」9月増刊号)
「父母を相次いで亡くした勲。
失意の彼は、満月の夜、父の荒れ果てた温室で、奇怪な体験をする。
温室の中には、憔悴した人々がおり、水を求めていた。
人々の中、美しい少女が死にかけており、彼は咄嗟に自分の血を彼女に与える。
以来、彼は屋敷に閉じこもるようになり、誰とも付き合わなくなる。
彼を心配して、いとこの恵は、友人の英子と学と共に、彼を訪問する。
彼は顔色が悪く、痩せ、太陽の光を嫌うようになっていた。
彼の興味は、温室のサボテンだけらしく、中でも「夜の少女」と名付けたものは非常に大切にする。
「夜の少女」は夜にしか咲かないというのだが、その花が咲く時…」
・「黒バラは死のにおい」(1976年「別冊なかよし第3号」掲載)
「秋月さおりは、資産家のお嬢様。
16歳の誕生パーティーで、彼女は、山林王の遺児、飛竜尚人と出会い、心惹かれる。
彼女が彼と過ごしている時、彼女宛てにプレゼントが届けられる。
それは黒バラの花束で、メッセージには「最後の誕生日おめでとう云々」と殺害予告が記されていた。
尚人はいたずらと一蹴するが、パーティの後、彼女の写真には黒バラとナイフが突き立てられ、彼女のペットは殺されていた。
恐怖でパニックを起こした彼女のもとに、尚人が現れ、彼女は一晩、彼にそばにいてもらう。
彼女は彼にボディガードをしてもらうこととなるが、毒入りの紅茶を飲んで、彼は入院する。
更に、母親は心臓麻痺で急死し、父親は、車のブレーキの故障により、事故を起こす。
さおりは、身の安全を図るため、尚人の勧める、黒猫島の別荘へ身を隠すのだが…。
彼女の命を狙う者の正体は…?」
「化石の島」は、絶頂期に描かれた名作の一つです。
ラストが意外とあっさりしている感を受けますが、当時の読者の女の子達はトカゲ島の描写に震え上がったんでしょうね。
個人的に感銘を受けたのは、「血の花の伝説」。
高階良子先生の大好きな、植物の精(♀)を扱った「アルラウネ」ものなのですが、この作品に出てくるのは「吸血サボテン」!!
でも、トゲから血を吸わないのが、ちょっぴり残念です。
「黒バラは死のにおい」は、まあ、読んですぐに犯人がわかるかも…。(やっぱ、アイツです。)
2021年2月20・21日 ページ作成・執筆