松本洋子
「殺意のメッセージ@」(1993年6月5日第1刷発行)
「殺意のメッセージA」(1993年9月6日第1刷発行)

・「殺意のメッセージ」(「なかよし」1992年11月号〜1993年5月号)
「白石真砂は、両親の死後、父親の友人である篠宮家に引き取られる。
 篠宮氏の息子、篠宮希(しのみや・けい)は真砂より一つ年上で、彼女には兄のような存在であった。
 そんな彼女の秘密は、人の心を読むことができること。
 両親の死後、親戚中をたらいまわしにされた経験から彼女はその能力を得たが、篠宮家に来てからは落ち着いたためか、その能力は影を潜める。
 それから、八年…真砂は中学二年生になっていた。
 文化祭を目前に控えたある日、彼女は「オマエヲ殺シテヤル」という殺意を感じる。
 その殺意は彼女に向けられていたが、誰の思いなのかはわからない。
 そして、文化祭当日、希の所属するSF同好会が開く「オカルトハウス」で女子生徒の死体が発見される。
 死体は上園杏子で、死体は布に包まれ、他の展示物と並べられていた。
 杏子は昨夜、オカルトハウスの手伝いに来ており、希と仲の良い真砂に敵意を燃やす。
 そして、準備が終わった後、希を話をするために呼び出していた。
 アリバイの他にも、凶器の金槌にも彼の指紋がついており、容疑は希にかかる。
 真砂、彼女のボーイフレンドの日高暁(ひだか・さとる)、暁の友人のやよいは独自に調査に乗り出すのだが…。
 杏子がほのめかしていた、真砂の秘密とは…?
 そして、新聞部の七尾慎一によると、この事件は八年前の心中事件と関係があるようなのだが…」

・「血のつぶやき 闇のささやき」(単行本A収録/「なかよし」1990年増刊号)
「ソニア・カーライルは資産家の娘。
 九年前、庭師のバートンの孫、スライ・バートンが、両親を亡くしたために、屋敷にやって来る。
 両親は仕事や社交で忙しかったため、ソニアはスライを兄のように慕う。
 しかし、両親はそれを快く思わず、彼女をロンドンの寄宿学校に入れる。
 ある夏、彼女が友人の家で休暇を過ごしていると、スライの祖父が亡くなったという知らせが届く。
 急いで帰宅するも、スライは彼女が帰省しなかったことをなじり、彼女を抱きしめる。
 ソニアは彼を突き飛ばして逃げ、更に、このことが両親の知ることとなり、スライは屋敷から追放される。
 その夜、スライはソニアの両親を惨殺し、彼女をも襲う。
 だが、二人は一緒に階段から転落し、スライは死亡、ソニアは頭を強く打ちながらも生き延びる。
 彼女は病院で療養することとなるが、スライの幻は幾度も現れ、彼女を死の世界に誘う…」

 「殺意のメッセージ」は超能力を絡めたサスペンス・ミステリーですが、イマイチな印象…。
 個人的には、ストーリーの要である超能力が安易な用い方をされているように思います。
 あと、ラストで明かされる真相がやけに生臭いのに絶句です。(「なかよし」で掲載されたとは思えない…。)
 出来に関しては、中編の「血のつぶやき 闇のささやき」の方が良いと思います。
 ただ、名前に注意すれば、真犯人がすぐわかってしまいますが…。

・備考
 単行本@、カバーをテープで止めてあり、ページにテープ痕。

2023年5月23・24日 ページ作成・執筆

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