山本まゆり「御霊振り 言霊編」(2010年5月13日第1刷発行)

・「言霊」(「BE LOVE」2009年第14号)
「奈央と真姫は親友同士。
 奈央は雅也が好きであったが、真姫に先を越され、結局、言い出せずに終わる。
 そのため、口では応援すると言いながら、心の中では、別れてしまえばいいと思っていた。
 ある日、奈央は真姫から雅也と結婚すると告げられる。
 彼女は妊娠三ヶ月であった。
 その直後、真姫は通り魔に襲われ、奈央をかばって殺害される。
 奈央は、犯人への怒りに燃える雅也を慰めようとするも、うまくいかない。
 奈央は昔から、肝心なことが言えなかったり、的外れなことを言ったりして、失敗していた。
 そんな時、彼女は祥という青年と出会う。
 彼は彼女の悩みを聞いて、「言葉には魂が宿って」おり、「その言葉が真実であれ嘘であれ、発してしまった言葉は真実として相手の心に届く」から「言葉選びは慎重に」するよう諭す。
 これをきっかけとして、奈央は彼の働いているマジック・バー「ショウ」を訪れる。
 祥は彼女に「カローンの渡し舟」というカクテルを差し出す。
 これを飲むと、ひと時、彼岸で会いたい人に会えるという。
 奈央は死んだ真姫と再会を果たし、今までの誤解を解き、本音を明らかにする。
 彼岸から戻る時、奈央は三途の川を進む人物を見かけるのだが…」

・「心音」(「BE LOVE」2009年第19号)
「香本佑太は時計が大好きな少年。
 彼は母親が18歳の高校生の時、産んだ子供であった。
 男には逃げられ、彼女はシングルマザーとして必死に息子を育てる。
 息子が頑張れば、褒美として時計を買ってあげていたが、彼は学校でいじめにあっていた。
 中学校に入ってから、いじめはエスカレートし、遂に彼は学校に行けなくなる。
 そして、ある時から、時計を買ってこなければ、暴れ出すようになった。
 ある日、宅配業者の青年が注文の時計を届けに来る。
 佑太は彼が首から下げている時計を欲しがり、母親が交渉すると、彼は同じものを手品で出し、佑太にあげる。
 宅配業者の青年は母親からことの事情を聞くと、佑太の部屋に行こうと言う。
 時計でいっぱいの部屋で、佑太は何を聞いているのであろうか…?」

・「本心」(「BE LOVE」2009年第22号)
「美幸と真奈は傍から見ると友人同士。
 しかし、美幸は真奈を友人とは思えず、ストレスばかり感じていた。
 言いたいこと、思ったことをストレートに言う真奈とは違い、美幸は言いたいことがあっても、まず相手のことを考え、躊躇してしまう。
 また、美幸のプライバシーにずけずけ入り込んでくるのも苦痛でたまらない。
 美幸は真奈に内緒で、他の会社の面接を受け、彼女との仲を自然消滅させようとする。
 そんな彼女に、マジック・バー「ショウ」で働く祥は、オリジナル・カクテル「タイム=ショウ」を差し出す。
 これを飲むと、「人生におけるターニング・ポイントにタイム・スリップできる」というのだが…」

・「バースデイ・プレゼント」(「BE LOVE」2010年第5号)
「香織は、娘の桃香さえいれば、他の何もいらない。
 夫とは没交渉で、桃香を中心に生活は回っていた。
 ある日、桃香と一緒に電化用品店に出かけた時、祥という青年と出会う。
 桃香はすっかり彼に懐き、また、フリーズしたパソコンも彼に直してもらう。
 そればかりか、彼は手品師で、桃香にお願いされたバースデイ・ケーキを目の前に出す。
 これで、香織は今日が桃香の誕生日だったことを思い出す。
 桃香とは、両親と共にエンジェルランドに行って、人形を買う約束をしていたのだが…」

2022年3月4・5日 ページ作成・執筆

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