鯛夢・呪みちる・他「呪いの都市伝説モンスター」(2017年9月22日第1刷発行)

 収録作品

・並木伸一郎「序文・都市伝説モンスターとは何か?」

・鯛夢「カシマさん 〜足いる?〜」
「田島比呂がトイレで用を足していると、急にドアがノックされ、「足いる?」と質問される。
 彼女は一人暮らしで、マンションはオートロックで誰も入れるはずがない。
 ノックと質問は続き、彼女は「カシマさん」の噂を思い出す。
 質問にどう答えたらいいか思い出そうとするも混乱するばかり。
 その時、彼女は元カレの森誠太のことを思い出す。
 彼なら合い鍵を持っているはずだが、そんなことはありえない。
 何故なら、彼は彼女を捨て、他の女のもとに行ったはずなのだが…」

・呪みちる「牛女の叫び」
「山本というチャラ男が引き受けた十万円のバイト。
 それは山奥の旧家で三日間、肉体労働をするというものであった。
 家には人気もなく、肉体労働と言ってもあまり意味があるようには思えない。
 三日後、バイトの終わりに、老人達が集まって、お祝いをしてくれる。
 しかも、依頼主の老人は特別ボーナスとして、百万円を彼にくれる。
 その夜、彼が目を覚ますと、何ものかが彼の身体をまさぐっている。
 その正体は…?」

・児島都「口裂ける女」
「とても怖がりな少女、美魂(16歳)。
 中でも彼女が最も恐れるのは「口裂け女」で、マスク姿の女性を見る度に恐怖に慄く。
 17歳の誕生日の前夜、彼女は、父親が母親の写真に向かって語り掛けるのを立ち聞きする。
 彼女の母親は、17歳になったばかりの頃に、美魂を産んですぐに病に倒れたと聞かされていた。
 だが、本当は「錯乱して死んだ」らしい。
 そして、母親の顔は…」

・花輪和一「人面犬が生まれる理由」
「人面犬に関する、花輪和一先生の考察。
 「なんとなく人の顔に見える犬」…それは日本中にいるはず。
 また、他にも人間と互いに通じ合っているような動物がいる。
 それは「アタッチメント現象」で説明できるという…」

・寝猫「地獄の使者赤マント」
「昭和初期の度重なる軍事クーデターによって社会が不安に陥っていた時期。
 小学校の校門脇に紙芝居がやって来ると、子供達は五銭玉を持って駆け寄ってくる。
 今日のお話は「赤マント」のお話し。
 だが、お話しが終わった後、紙芝居の青年は憲兵たちに連行されてしまう。
 「赤マント」にまつわる事件、そして、その噂とは…?」

・斎藤猛「異界からの影」
「OLのミチヨは、大好きなバンドのライブ中継を観るべく、帰路を急ぐ。
 番組に間に合うためには、取り壊しの決まった古い団地の遊歩道を近道するしかない。
 しかし、駅で女子高生たちが、この遊歩道は夜、異界に通じると噂するのを聞き、躊躇する。
 意を決し、遊歩道を歩きだすも、いろいろと想像してしまい、落ち着かない。
 すると、背後から足音が聞こえてきて、段々と駆け足になる。
 すると、脇から猫がとび出てきて、急停止した彼女の背中の腰元に何かが当たる。
 それは丸くて固い「人の顔」のようなものであった。
 以来、彼女は腰痛に悩まされるようになるのだが…」

・天野聡彦「ゴートマンの大真実」
「アメリカ、カリフォルニア州。
 平凡な家庭のターナー家の長男、エリック(16歳)には悩みがあった。
 彼は自分の容姿が山羊にそっくりで、普通の人間ではないのでは?と疑っていたのである。
 妹のアリシアと口論していた時、父親が、そろそろ真実を知ってもいい頃だと告げる。
 父親からのヒントは「ベンチュラ群 アリソン峡谷」。
 エリックはヒッチハイクでベンチュラ群に向かう。
 そこは昔、「ゴートマン・ブーム」が起こった土地であった…」

・佐藤修弘「跳躍怪人バネ足ジャック」
「19世紀のイギリス。
 1830年代、ロンドン南西部バーンズ広場付近で、マントを羽織った怪人が宙に跳ね上がるという報告が相次ぐ。
 1838年1月にはその存在が公式に認められ、怪人は『バネ足ジャック』と呼ばれるようになる。
 最初の報告から四十年経っても、怪人のニュースは耐えることがない。
 記者のアクロイドは新人の時から『バネ足ジャック』追い続けてきたが、定年を迎えた日、彼の前に、『バネ足ジャック』が現れる。
 『バネ足ジャック』が打ち明けた秘密とは…?」

・逆柱いみり「毒ガス怪人マッドガッサー」
「アメリカイリノイ州の小さな町マツーンにて、謎の毒ガス事件が発生。
 被害者は頭痛と吐き気、そして、身体の麻痺に襲われる。
 事件現場付近には、やけに背の高い黒ずくめの怪人が目撃され、『マッドガッサー』と呼ばれる。
 警察は24時間体制で犯人逮捕に全力を挙げるも、事件は連日発生。
 『マッドガッサー』の正体とは…?」

・伊賀和洋「モスマン 〜呪いの連鎖〜」
「大友龍平はルポライター。
 彼は「モスマンの予言」に興味を抱き、アメリカを訪れる。
 モスマンは1966年〜1967年にかけてウエスト・バージニア州のポイント・プレザント一帯で目撃された謎の生物であった。
 モスマン事件に関与した人は様々な怪現象に襲われ、また、大惨事が起きる直前に姿を現すと言われる。
 龍平は最初にモスマンが目撃された旧発電所を夜に訪れるのだが…」

 「戦慄!!呪いの都市伝説モンスター」というコンビニ本を再編集して復刻した単行本です。
 コンビニ本を未入手なので、はっきりしたことはわかりませんが、作品を幾つか削っているのではないでしょうか?
 でも、花輪和一先生、鯛夢先生、呪みちる先生、児島都先生、逆柱いみり先生とそのスジでは大物クラスの漫画家さんの作品はばっちり掲載されており、どれも読みごたえは十分。
 中でも花輪和一先生「人面犬の生まれる理由」は独特な考察が披露されており、傾聴に値します。
 ちなみに、斎藤猛先生「異界からの影」のみ、「読者投稿 心霊体験25」(少年画報社/2011年)からの再録となっております。
 理由は定かではありませんが、非常にいい話なので、編集者が加えたかったのかもしれません。

2023年3月17日/5月21日 ページ作成・執筆

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