庄司陽子・他「ミステリー傑作選@」(1992年7月13日第1刷・1993年10月5日第3刷発行)

 収録作品

・庄司陽子「終宴」(1992年「BE・LOVEミステリー」第15集)
「OLの秋野美咲は、自宅のマンションの前で、マキシムの指輪を拾う。
 試しにはめてみたところ、抜けなくなり、仕方なくそのままに。
 しかし、以来、彼女の精神は奇妙に不安定となる。
 彼女は取引先の銀行の次長で、妻子ある男性と三年もの間、不倫をしていたが、彼の行動に不信感と苛立ちを募らせる。
 そして、指輪をはめた夜、鏡の中で見た、血だらけの顔が、同じマンションの住人の楠田雪子という女性であることを知る。
 楠田雪子は、不倫相手に結婚を迫り、撲殺されていた。
 指輪は楠田雪子のものであり、美咲は彼女に自分を重ね合わせ、自分の本心を吐露するようになる…」

・菊川近子「不幸自慢の女」(1990年「BE・LOVEミステリー」第6集)
「東洋ストア外商部に勤める高石夏海。
 彼女には、高校生の頃、自分の不注意で男性を交通事故死させ、その遺族にいまだにお金を振り込み続けていた。
 その過去や家庭の事情で上司や取引相手を同情させ、成績はトップ、また、お得意先の茂木正彦と恋仲となる。
 だが、彼女の言葉はほとんどが嘘っぱち。
 嘘で塗り固めた彼女を待ち受ける運命は…?」

・犬木加奈子「釣ったサカナ」(1991年「BE・LOVEナイトメア」第4集)
「平凡なサラリーマンの男性。
 彼が何よりも恐れているのは、数年前に結婚したルリ子。
 結婚した当初はあんなにも美しかったのに、今は醜く太り、無神経さとがさつさの塊であった。
 彼の唯一の心の支えは、浮気相手のユキ子だけであったが、ルリ子は彼が浮気していることを敏感に察知する。
 否定する彼に、ルリ子は自分を抱くよう迫り、彼は衝動的に彼女を殴り殺してしまう。
 困り果てた彼がユキ子に電話すると、彼女はてきぱきとルリ子の死体を処理する。
 その後、ユキ子はルリ子に変装し、彼女になり代わる。
 こうして、彼はルリ子から解放されたに見えたが…」

・小沢孔璃子「失楽園」(1990年「BE・LOVEミステリー」第7集)
「西野友里子の謎の自殺。
 彼女は、上田財閥の次男、上田雅彦と結婚式を挙げる直前、海へと身を投げ、一週間後に腐乱死体となって発見された。
 警察では自殺の線で捜査するが、刑事の山村佐知は、友里子に自殺する動機がないことがどうにも引っかかる。
 唯一の手掛かりは、結婚式の前に友里子に送られた「失楽園」の絵。
 佐知は、上田雅彦が何かを隠していると感じ、彼と面会を重ねるも、実に掴みどころがない。
 ある日、その絵の送り主がようやくわかるのだが…。
 「失楽園」の絵に秘められた意図とは…?」

 レディース・コミック雑誌「BE LOVE」に掲載されたサスペンス&ミステリーを収録した単行本です。
 そのスジでは大物の作家が執筆しており、質の高さは折り紙付きです。
 この本の目玉は、犬木加奈子先生の珍しいレディース向けホラー「釣ったサカナ」。
 若干、アダルトな内容故、単行本ではこれでしか読めないのでは?(今は電子書籍で簡単に読めると思います。)

2020年12月24・25日 ページ作成・執筆

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