庄司陽子・他「ミステリー傑作選A」(1992年7月13日第1刷・1993年10月5日第3刷発行)
収録作品
・高口里純「神様のおぼしめし」(1989年「BE・LOVEミステリー」第3集)
「キャリアウーマンの豊田泉は潤一郎と結婚して一年、そろそろ子供のことを考える。
それも絶対に女の子が欲しい!!
親友の水戸奈美子にその話をすると、女の子は産まれないと断言し、女の子を産むとしたら自分だと言う。
意味深な発言を残し、その日以来、奈美子とは音信不通になる。
ある夜、彼女は、夫と奈美子が一緒にいるところを目撃する。
だが、夫は彼女のことは知らないとしらばっくれる。
奈美子に直接連絡を取ろうとしても、会社では有休を取り、アパートも引っ越していた。
夫は奈美子と彼女との結婚前に関係があったらしく、泉は疑心暗鬼に駆られるのだが…」
・庄司陽子「雪女」(1989年「BE・LOVEミステリー」第1集)
「探偵の京極政高と助手の花咲峯子は、休暇で雪国の温泉地を訪れる。
だが、政高のもとに村の名士の変死事件が持ち込まれる。
亡くなったのは郡司という初老の男性で、夜、湖に落ちたのだが、死因は心臓麻痺。
何故、そんな所にいたのかわからないし、どうやら、湖に落ちる前に、何らかのショックで心臓麻痺を起こしたらしい。
そして、郡司の妻、あゆみは過去に政高と深く愛し合っていた女性(本名は響子)であった。
だが、彼女が何故、結婚を破棄して彼と別れ、親子ほども年の離れた男と結婚したのか、政高は腑に落ちない。
事件について調べて行くうちに、郡司にもう一人女がいたことが判明する。
その女性は、響子の生き別れた双子の妹、静香だという。
しかし、響子の身元を洗うにつれ、意外な事実が明らかになる…」
・菊川近子「身がわり」(1991年「BE・LOVEペア」2月号)
「経理課の温美は地味で目立たない女性。
そんな彼女が一ヶ月で大変身し、皆、男ができたのでは?と噂する。
実は、その通りで、一月前、彼女は、憧れの塙と関係を持ち、結婚の約束をしていた。
塙は、他に付き合っている女性との関係を清算するため、結婚のことは秘密にして、他人のふりをし続けるよう頼む。
ところが、その女性に温美のことを勘付かれそうになったらしく、なるべく会わないようにしようと言われる。
週末、二人はこっそり日帰りの小旅行に出かける。
場所は海だったが、ここは自殺の名所で…。
塙の目的とは…?」
・伊万里すみ子「見知らぬ女への招待状」
「松田いず美は着物の着付けの先生。
彼女は、高校時代の友人、神原容子にリゾートへの旅行に招かれる。
リゾートと言っても、古民家を改装した別荘が一軒あるだけの小さな島。
いず美は気分転換になると承諾し、二人は、白崎という青年が運転するボートで島に渡る。
彼女達が一番乗りであったが、いず美は別荘の階段で、着物姿の俯いた女性を目にする。
だが、目を離した隙に女性は消えてしまい、しかも、ここには二人以外、いないはずがない。
その後、白崎に案内され、続々と客が到着する。
客は、いず美と容子の他に、フリーターの吉田順子、小学校教師の沢田明子、バーで働く千葉明美、秋川ミミの女四人に加え、いず美の婚約者、石橋啓史も何故か、やって来る。
別荘に到着早々、秋川ミミは幽霊を視たと大騒ぎする。
その幽霊は、姿も場所も、いず美が見たものと一緒であった。
ミミは白崎のボートに乗って、一人で島を離れようとするが、ボートが爆発炎上して死亡。
移動手段のボートを失い、電話も通じず、彼らは島に取り残される。
その後も、女性が殺害され、いず美にも危険が迫る。
どうやら、ここに集まった女性達にはある共通点があるようなのだが…。
犯人は一体誰…?」
一押しは、伊万里すみ子先生の「見知らぬ女への招待状」。
個人的に、「孤島で起きる連続殺人事件」が好きなんです!!
ミステリーとしては、若干、強引なところもありますが、ちゃんと筋は通ってますし、残酷描写も頑張っていて、力作だと思います。
2021年12月13・14日 ページ作成・執筆
2022年1月20日 加筆訂正