庄司陽子・他「ミステリー傑作選F」(1994年3月11日第1刷発行)
収録作品
・庄司陽子「涙子」(「ハローフレンド」1986年12月号)
「父が亡くなり、萩尾正臣は、腹違いの妹に会うため、雪国の実家を訪れる。
妹の名は涙子(14歳)といい、彼が産まれる前、父親が別の女性と大恋愛して、できた子供であった。
だが、涙子は五歳の時、花嫁衣裳を着た母親が鎌で喉をざっくり裂いて、自殺するのを目の当たりにする。
以来、髪は真っ白になり、狂ったままであった。
正臣は涙子に会うが、彼女は「山の巫女」を名乗り、誰も彼女に逆らえないらしい。
涙子は彼に対し、妹を超えて、愛されようとするのだが…。
涙子が「罪の子」と呼ばれる理由とは…?」
・菊川近子「セルメの叫び」(「BE・LOVEパフェ」1993年4月号)
「斉木友理は、三年前、会社の営業部にいた水島にずっと片想いをしていた。
実家でお見合いをさせられそうになり、彼女は彼の転職先を調べ、告白しようとする。
だが、彼は何度も転職しており、最近は、実家の両親ですら、彼と連絡が取れなかった。
ただ、占いによると、「東京から見て西の方角」にいるらしい。
友人の杏子は友理に「セルメの呪術」を教える。
これは、北欧で千年以上の歴史を持つ愛の呪法で、この呪法で想いが相手に伝わり、相手は彼女を迎えに来てくれると言う。
お見合いは明後日に迫り、ダメもとで友理は「セルメの呪法」を試すのだが…」
・杉原たくみ「E線上のマリア」(1990年「BE・LOVEミステリー」第5集)
「ミュージシャンのハチと刑事の愛のコンビは、歌姫マリアの率いるバンドのライブを訪れる。
その最中に、ギタリストの富井(トミー)が急死。
心臓麻痺か脳内出血かと思われたが、後に、死因はクラーレという南米の毒によるものと明らかになる。
トミーの右手薬指には傷があり、ハチは、ギターのE線をアルペジオで弾いている時についたと想像する。
そして、クラーレはギターの弦に塗られていたらしい。
トミーが最後に使ったギターはマリアのもので、マリアを狙った犯行と思われたのだが…」
・河あきら「二重想」(1990年「BE・LOVEミステリー」第8集)
「記憶喪失の男性。
妻の舞香と仲村医師のおかげで、わずかだが、記憶を取り戻す。
自分の名前は塔村聖。
彼は、遠縁にも関わらず、舞香の父親に事業の後継者として選ばれ、他の親戚達をさしおいて、事業の実権を握っていた。
記憶は完全に回復していなくとも、半ば無意識的に、彼は以前のようと同じような行動をとる。
だが、ハツミと名乗る女性が塔村家を訪れる。
彼女は彼の夢に出てきた女性で、一緒に住んでいたようなのだが…」
2021年12月21日 ページ作成・執筆