高階良子「血とバラの悪魔」
(江戸川乱歩・原作/1975年3月10日第1刷発行)

 江戸川乱歩の作品の中でも最も有名なものの一つ、「パノラマ島奇談」(日本の幻想文学に興味のある人は必読!!)。
 1920年代半ばに書かれたとは思えない、圧倒的な想像力が今なお魅力的な作品で、インスピレーションを刺激されるせいでしょうか、漫画だけでなく、映像化も幾度かなされております。
 高階良子先生が「黒とかげ」に続き、「パノラマ島奇談」の漫画化にチャレンジしたのがこの「血とバラの悪魔」です(「なかよし」1971年11月号〜1972年2月号)。
 ストーリーは、八割方、原作通りですが、原作の主人公の妻、千代子は、妹の千代に変えられる等、登場人物に関して幾つか、変更点が見られます。
 あと、パノラマ島のシーンでは、裸女の描写はほとんどカットされて、ちょっとがっかり。(「なかよし」だから仕方ないよね…。)(注1)
 でも、ラストの「○○○」(ネタばれ防止のため、伏字)を変えずに、そのまま、やっちゃったのは、凄いと思います。(「なかよし」なのに…。)
 とりあえず、一読して感じたことは、読者の女の子達には少し難しかったのではないでしょうか?
 とは言え、約半世紀も前に「パノラマ島奇談」に真っ向から取り組んだガッツは評価されるべきだと思います。

・注1
 人魚の描写等、絵柄が違うような気がするのは、アシスタントさんによるもの?

・備考
 シミ多し。

2018年10月1日 ページ作成・執筆

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