渡千枝「幻の9階」(1993年2月13第1刷発行)

 収録作品

・「幻の9階」(「増刊ミステリーMe」1990年4月号掲載)
「賃貸マンションに引っ越してきた若夫婦の武原良平・裕里。
 部屋は「804号」で、前の住人の妻は八階の廊下から跳び下り自殺をしていた。
 とは言え、部屋で死んだわけでなく、仮住まいを割り切る。
 まあ、住まいに関係なく、二人は幸せいっぱいであったが、徐々に裕里はいろいろなことが気になり始める。
 夜中、部屋に反響する、排水管らしき水音。
 浴槽に浮かぶ、誰のものかわからぬ長い髪の毛。
 そして、徐々に変わっていく良平の態度。
 彼女は、良平が、会社の女性と浮気をしているのではないかという疑惑にとり憑かれていくのだが…」

・「二度殺された女」(「増刊ミステリーMe」1990年8月号掲載)
「ある会社の係長、峰川辰雄。
 彼は単身赴任中、湯川康江という、同じ会社のOLと不倫をしていた。
 だが、辰雄の妻、絹子が、四歳の恭一と共に、東京に移ることとなり、二人は別れる。
 数か月後、駅のホームで、安江ユキという奇妙な女と出会う。
 ユキは、彼の生活にどんどんと侵入し、遂には、肉体関係まで結んでしまう。
 そんな時、彼の妻が上京して…」

・「疑惑の果てに」(「月刊MIDORI」1991年1月号掲載掲載)
「幸せな若夫婦、滝沢慶・咲子。
 咲子には、高校二年の時、見知らぬ男に強姦されたというトラウマがあった。
 また、何故か、彼女の周囲では、強姦事件が多発する。
 慶が、強姦の被害者の定期券を拾ったことをきっかけに、咲子は、夫が強姦魔ではないかと疑い始める。
 彼女はその疑惑を否定するも、夫の出張中、意外な事実を知ってしまう…」

・「鏡」(「月刊MIDORI」1993年2月号掲載)
「この世で二人きりの恵理と理沙の姉妹。
 ある日、恵理は、アンティーク・ショップで、ドレッサーを買ってくる。
 その鏡台を使うようになってから、恵理はますます美しくなる。
 しかし、一方で、彼女の性格は意地悪くなり、男関係は派手になっていく。
 理沙は、姉の変化は鏡台のせいと考え、それを壊そうと考えるのだが…」

2020年5月19日 ページ作成・執筆
2021年12月22日 加筆訂正

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