高階良子「赤い沼」(1977年5月4日第1刷・1985年8月31日第29刷発行)

 収録作品

・「赤い沼」(「なかよし」昭和51年11月号付録
「山奥の村。
 籠女(かごめ)は、赤ん坊の時、鬼子母神を祀る神社の境内に捨てられ、おタネという老女によって育てられる。
 籠女は何をやらしてもグズで、村の子供達からは爪はじき者。
 老女は、悲しむ籠女に、彼女は鬼子母神様からの授かりものだが、鬼子母神様のつくりそこねた「はんかけ」だと話す。
 籠女は、子供の頃から不思議な夢をよく見た。
 その夢は、長い間、誰かが閉じ込められていると、木の扉の向こうから見知らぬ青年が彼女を解放するためにやって来るという内容であった。
 籠女は、その夢で閉じ込められているのは、失われたあと半分の自分だと信じる。
 そして、月日は流れ、おタネは死に、籠女が年頃の少女になった時、村に野上勇という青年が訪れる。
 彼の目的は、「かごめかごめ」のわらべ唄の研究のためであり、この村はその発祥地らしい。
 彼を一目見て、籠女は夢の中の青年と知る。
 勇も籠女に興味を抱き、二人は神社で再会する。
 籠女がおタネから受け継いだ知識によって、わらべ歌の歌詞に秘められた謎が次々と明らかとなる。
 最終仕上げとして、彼らは赤沼の中央にある鬼子母神の祠にボートで渡る。
 彼らが祠の扉を開けた時、解き放たれたものとは…?
 赤沼の水が再び赤く染まる時、二百年前の惨劇が繰り返される…」

・「闇におどるきつね」(「なかよし」昭和52年2月号掲載)
「あや子は、幼馴染の隣の青年、辰巳に密かな想いを寄せる。
 しかし、辰巳にとってはあや子は妹みたいなものでしかなく、更に、彼のクラスメート、玲子の存在に心乱される。
 辰巳はオカルト・クラブのリーダーで、毎日曜日、彼の部屋で集会をやっていた。
 その集会で、コックリさんをした日、あや子の目の前で、コックリさんが辰巳の心は玲子のものと答える。
 衝撃のあまり、あや子は部屋をとび出し、それに驚いた辰巳はコックリさんの硬貨から指を放してしまう。
 一方、嫉妬心に苛まされる、あや子は、ふと目に入ったお稲荷様に八つ当たり。
 すると、社の御神木が突如、彼女の方向に倒れてくる。
 あや子は奇蹟的に傷一つ負わなかったが、以来、彼女は狐に憑りつかれたと主張。
 最初は半信半疑だった辰巳達もポルターガイスト現象を目の当たりにし、玲子が下校途中、狐に襲われる事件も起こる。
 辰巳と、超心理学を研究している先輩の関根は、この怪奇現象を究明しようとするが…」

・「さらわれたアイドル」(「なかよし」昭和51年12月増刊号掲載)
「とっても御立派で、優秀な東城家。
 十四歳の長女、八千代は、う〜んといい子を演じているが、たまには息抜きが必要。
 そんな時は、思いっきりラフな格好で、悪友達のたむろするスナックへ向かう。
 そこで、八千代達は、人気絶好調の淳かおるを誘拐する計画を立てる。
 計画はとんとん拍子に進み、彼を拉致して、八千代の別荘に車で向かう。
 かおるを目の前にして、うかれる八千代達だが、さて、この誘拐作戦の顛末は…?」

 個人的には、「闇におどるきつね」に感銘を受けました。
 当時のオカルト漫画の体裁を取りながら、心理学を応用して、思春期の少女の心の揺らぎを巧みにストーリーに織り込んでおります。
 また、オカルト漫画としても、「キルリアン写真」といったマニアックな知識まで出てきて、なかなか本格的。
 ただ、ヒロインの正体が「○○○少女」というのが賛否の分かれ目かも…。(かなり物騒なお嬢さんです。)

2017年7月27日 ページ作成・執筆

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