瀬口恵子「人狼転生」(1997年8月7日第1刷発行)

 収録作品

・「人狼転生」
「第一話 銀色の狼」
 朝吹琉は高校一年生の少女。
 ある早朝、恋人の椎山と公園で待ち合わせていたところ、変質者に襲われる。
 その時、彼女を救ったのは、銀髪で、透き通るほど、冷たい肌をした男であった。
 何故か、彼は蒼い瞳から涙を流していた。
 彼女は、その男が、美術の新しい顧問、氷室であると直感する。
 放課後、教室に忘れ物を取りに行った琉の前に、氷室が現れる。
 彼の眼を見た時、琉の意識は飛ぶ。
 琉の前世は人狼であった。
 そして、彼女は氷室とその種族のカップルであったが、人狼狩りに巻き込まれ、命を失う。
 今わの際に、彼女は氷室に転生を約束し、自分を捜し出すよう頼んだのであった。
 だが、琉はそれを受け止めることができない…。
「第二話 わたしの中の狼」
 恋人を殺され、深く傷ついた琉は、氷室と拒む。
 だが、血の接吻により蘇った、人狼の血は抑えがきかなくなっていく。
 一方、保険医の安藤は、琉の血が人間のものでないことに気付き、彼女のことを調べ始める…。
「第三話 目覚めの果てに」
 琉は、自分が殺人犯として疑われていることを知り、家出をする。
 目的地は、ニホンオオカミがいまだ棲息していると言われる、A市の狼神岳。
 山の奥に向かうと、石碑があり、そこで、人狼一族の生き残りと出会う。
 しかし、氷室は彼らを同族とはみなさず、山に放火。
 更に、麓からは、人狼狩りの人々が迫ってくる。
 琉が選んだ結論とは…?

・「神かくし」
「北岡哲雄の謎の失踪。
 彼は明るく、クラスのリーダー的存在で、バスケ部ではスタメンに選ばれていた。
 家庭では両親の離婚という事情があるものの、どうしても失踪する理由がわからない。
 彼のクラス担当の須藤美佐子は、この事件が、六年前の事件とオーバーラップする。
 それは、当時、高校生だった美佐子の恋人、竹本の失踪事件で、未解決に終わっていた。
 そして、北岡哲雄・名義のワープロ文字のメッセージ。
 文面から判断する限り、彼はもうこの世にはいないが、メッセージは幾つも届けられる。
 美佐子の前に現れる、哲雄との関係者…。
 北岡哲雄の恋人、村田美久。
 彼の失踪のお陰で、スタメンのポジションを手に入れた、バスケ部の松井。
 北岡哲雄の元・恋人の井上あけみ。
 彼に何が起こったというのだろうか…?」

・「バリ島旅行記」
 2ページ程のエッセイ漫画。

 表題作の「人狼転生」は、アイデアが膨らまなかったんでしょうか、中途半端な内容となっております。
 それよりも、併録の「神かくし」の方が、ミステリー・タッチで面白いと思います。
 ちなみに、各話の最終ページに掲載雑誌や日付が載っているものの、ノドの奥にあって、読めません…。
 困るなあ…。

2021年1月10日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る