松本洋子「黒の輪舞」
(1983年1月10日第1刷・1984年6月10日第6刷発行)

 収録作品

・「黒の輪舞」(「なかよし」1982年7月号〜9月号掲載)
「ダニング家の娘、エリーとジュリアは、名門ソーンウォール校へと入校する。
 と言っても、エリーはダニング家の血をひく者でなく、捨子であった。
 二人そろって楽しい学園生活を期待していたのだが、ジュリアは一号館、エリーは六号館と寮が離れ離れになる。
 実は、ソーンウォール校の寮は一号館から六号館に分けられており、一号館は名門の子女で固められ、六号館は奨学生や問題児が集められていた。
 エリーは一号館の連中による差別に直面し、ジュリアとも疎遠となる。
 エリーは孤独を募らせるが、彼女の前に、ラウル=クランドールという青年が現れ、彼に想いを寄せる。
 しかし、ある夜、ルームメイトのカレンが何者かに刺殺され、その疑いが彼女にかかり、彼女はますます孤立。
 カレンの今わの際の言葉から、ラウルは、学園で黒ミサが行われているのではないかと考える。
 その頃、六号館の生徒長、ナルダ=ジョーンズは、エリーの心の隙間に巧みにつけ入り、彼女を「ブラック・クイーン」として覚醒させようと目論む。
 「ブラック・クイーン」とは、魔女の女王であり、身体のどこかに黒い星の印があるという。
 エリーを助けるため、ラウルはジュリアと共に、ある賭けに打って出るのだが…」

・「哀しみのアントワーヌ」(「なかよしデラックス」1982年3月号掲載)
「リアンナ(17歳)は、婚約者のセオドアとイギリスに行く前に、生まれ故郷のレーヌ村を訪れる。
 彼女が八歳の時、母は、厳格な夫を捨て、リアンヌと共に、使用人と駆け落ちした。
 母は亡くなるまで、夫のもとに残してきた息子のアントワーヌを心配しており、リアンナは弟に一目会おうとしていたのである。
 リアンナは、アントワーヌの家庭教師として、ドレ家に入り込むが、屋敷の人間関係は複雑であった。
 リアンナの父はすでに亡くなり、後妻のドレ夫人は冷酷で子煩悩な女。
 また、彼女の連れ子のダニエルは女好きで独占欲の激しい青年。
 そして、アントワーヌは頭がおかしいという評判であった。
 リアンナはアントワーヌの心を開こうと努めるが、彼からは恐ろしい事実が語られる。
 実の父は、後妻達によって殺害され、彼は自分自身を守るために、狂ったふりをしているのであった。
 そして、彼の憎しみは、実の姉にも向けられる…」

 「黒の輪舞」は「学園黒ミサ」ものの佳作です。
 それにうまく超能力少女を絡めているところがミソでしょう。
 「哀しみのアントワーヌ」は、曽祢まさこ先生っぽい作品だと思いました。
 非常にキツい話で、「なかよし」の読者の女の子達にはトラウマになったのでは?(それとも、こういうお話、読者には好評だったんでしょうか?…男の私には、わからない…)

2020年1月16日 ページ作成・執筆

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