亜樹直・原作/ひきた美幸・漫画「学校の怖い噂@」(1994年7月15日第1刷・1995年3月25日第3刷発行)

・「第1話 デビットの噂」(「週刊少年マガジン」1994年第15号)
「ある小学校に田中利夫(仮名)という男子生徒がいた。
 彼は身体が大人と一緒ぐらい大きく、色白の彫の深い顔をしていた。
 頭も運動神経もよく、大人しい性格であったが、その特異な風貌と肉の脂身が嫌いなことが原因で、クラスメートから「デビット」を呼ばれ、いじめを受ける。
 デビットは川西という少年になつき、いつも一緒であった。
 だが、当の川西はデビットに付きまとわれているように感じていて、一緒にいじめられないか気が気でない。
 ある放課後の掃除の時間、川西はいじめっ子の富山にデビット菌がついているといじめられる。
 それに対して、川西はデビットとは好き好んで仲良くしているのではないと涙を浮かべて抗議する。
 彼の言葉を聞いた富山は、玄関で川西を待っているデビットに彼は先に川の方の道を帰って行ったと嘘をつく。
 デビットは慌てて川の方の道を行くが、雨で増水した川に落ちて、行方不明となる。
 現場には、彼の運動靴(32p)だけが残されていた。
 必死の捜索が続けられるも、彼の行方はわからず、二週間後、捜索は打ち切られる。
 そして、雨の降る放課後。
 家に帰った富山に電話がかかってくるのだが…」

・「第2話 小さな宇宙人の噂〔前編〕」(「週刊少年マガジン」1994年第16号)
「千葉県。
 萩原耕司(仮名)はUFO好きの少年。
 彼の友達に岸本正という少年がいて、彼も同じくUFOに興味を持っていた。
 ある日の夕方、耕司は忘れた宿題のプリントを取りに学校に戻る。
 人気のない廊下を歩き、薄暗い教室の前に着いた時、中に誰かいることに気づく。
 窓ガラスから覗くと、松永という女児が隅にしゃがみこんでいた。
 松永は最近、転校してきたのだが、誰とも話をせず、皆、気持ち悪く思っていた。
 耕司が松永をよく見ると、十数センチぐらいの小人二人と何やら話をしている。
 小人はテレビで見た宇宙人とそっくりであった。
 驚いた彼は、バケツに足をぶつけ、音を立ててしまう。
 慌ててその場から逃げ出したものの、松永は彼がその場にいたことを知っていた…」

・「第3話 小さな宇宙人の噂〔後編〕」(「週刊少年マガジン」1994年第17号)
「友人の岸本正の死。
 彼は無数の小さな宇宙人に殺されたらしい。
 次は、耕司の番らしい。
 孤立無援で、彼は自分の部屋で途方に暮れる。
 その時、窓の方から奇妙な音が…。
 松永に拉致された彼の運命は…?」

・「第4話 バイキン先生の噂〔前編〕」(「週刊少年マガジン」1994年第18号)
「宮城県、F学園。
 二学期の終わりに、理科の先生が転任してくる。
 この先生は陰気なだけでなく、身体から卵の腐ったような臭いがして、左手には常に黄土色の手袋をしていた。
 いつの間にか「バイキン先生」とあだ名され、一か月も経つと、ほとんどの生徒に嫌われる。
 特に、バイキン先生を嫌い、反抗的だったのは、猪瀬厚太(仮名)という少年であった。
 ある授業の際、彼はバイキン先生の言葉をとことん無視する。
 いつものように放っておくのかと思いきや、バイキン先生はブチ切れており、彼の顔を机に何度も叩きつける。
 その復讐に、厚太はおしっこの入った袋をバイキンの頭に落とす。
 翌日、厚太は学校に来なかった…」

・「第5話 バイキン先生の噂〔後編〕(「週刊少年マガジン」1994年第19号)
「久米勉(仮名)は厚太のいたずらにムリヤリ加担させられた。
 そのためか、バイキン先生がやけに絡んでくる。
 放課後、彼が一人で帰っていると、バイキン先生が現れる。
 バイキン先生が彼の額に左手を当てて、熱を測ると、勉はその悪臭で気が遠くなる。
 目を覚ますと、車でバイキン先生の家に連れてこられていた。
 彼はバイキン先生の家で肉料理を出されるのだが…」

 マガジン編集部が学校にまつわる怖い噂話や体験談を募集して、寄せられた読者からの手紙をもとに作り上げた、都市伝説系ホラーの名作です。
 そのショッキングな内容から当時の読者に多大な衝撃を与え、トラウマ漫画としていまだに話題に上がることが多い作品でもあります。
 私はリアルタイムで読んだわけではないのですが、垢抜けない絵柄と陰惨なストーリー展開や強烈なグロ描写が妙にマッチしていて、生理的嫌悪感はかなりのものです。
 実際、小学生のやみくもな想像力を妙なるトラウマ漫画に昇華させた手腕には感動すら覚えます。
 あと、妖怪図鑑のノリの「怖い噂モンスターキャラクター」解説がついているのも嬉しいところです。
 子供の頃の「怖い噂話」の雰囲気にまた浸りたい方はお読みになってみては如何でしょうか?

2022年7月14・15日 ページ作成・執筆

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