亜樹直・原作/ひきた美幸・漫画「学校の怖い噂C」(1995年1月17日第1刷発行)

・「第22話 開かずの間の噂〔前編〕」
「ある中学校。
 夏休み中、新聞部の一、二年部員だけで学校新聞を作ることになる。
 記事の内容は旧校舎にまつわる怪談話の真偽を確かめるというもので、夏休みも終わりに近いある日、夜の九時に部員達は旧校舎前に集まる。
 新聞部員は、中学二年の加山由騎(仮名)、池上勝(仮名)、女子ひろえ(苗字は不明)に一年生の男女二人の計五人。
 旧校舎には開かずの間の地下室があると言われ、人の呻き声が聞こえるとか、人骨がたくさん捨てられているとか、様々な噂が立てられていた。
 恐る恐る旧校舎に入るも、徐々に緊張はほぐれ、彼らはあちこち調べて回る。
 そんな時、階段の脇に怪しいドアを見つける。
 ドアには立入禁止の紙が貼られ、十字に板が打ち付けられていた。
 皆が止めるのも聞かず、由騎と勝は板を剥がし、ドアを開く。
 ドアの向こうには地下に降りる階段があった…」

・「第23話 開かずの間の噂〔後編〕」
「勝が面白半分に撮った写真。
 その中の一枚に外国兵の幽霊が写っていた。
 噂によると、旧校舎は外国人の捕虜収容所だったらしい。
 一年生の二人が高熱を出して倒れたため、由騎とひろえは、霊に謝るため、旧校舎に向かう。
 心霊写真の前に線香をあげ、二人が祈ると、突風が写真を舞い上げる。
 すると、旧校舎の二階に、先に帰ったはずの勝の姿が見える。
 由騎は彼を連れ戻そうと旧校舎の中に入ると、そこは…」

・「第24話 悪夢の机の噂〔前編〕」
「Y県。
 新学期の際の席替えで、柴田道生(仮名)は窓際の一番後ろの席になる。
 ただ、彼の机が旧校舎で使われていた、年代物の黒光りしたものであることがやけに気になる。
 しかも、机の板には年輪がはっきりついていて、人の顔のように見えた。
 一時間目、どこからか鐘の音が聞こえてきて、柴田は急な睡魔に襲われる。
 夢の中で、彼は急に腹痛を起こし、保健室に向かう途中、中年女性の大石先生にハサミで襲われる。
 授業中、居眠りしたことがばれて、柴田は廊下で正座。
 その時、大石先生が廊下をやって来て…」

・「第25話 悪夢の机の噂〔後編〕」
「柴田が見る夢はどれも正夢になる。
 彼は次に怖い夢を見たら、死んでしまうのではないかと恐れ、なるべく眠らないようにする。
 だが、一週間もするうちに、身体はフラフラになり、学校を休むようになる。
 親友の三浦正利(仮名)は人がいる所の方が眠らないのではないかと登校を勧める。
 柴田も納得して、翌日、学校に行き、六時間目まで耐える。
 しかし、六時間目に寝てしまい、夢を見る。
 その夢は、三浦にカッターで耳を切り取られるというものであった。
 放課後、柴田は一人で教室の掃除をすることになるが、三浦が手伝いにやって来て…」

・「第26話 トイレの花子さんの噂」
「F県の中学校。
 二年の西村俊幸(仮名)は柔道部員。
 一、二年生は秋の新人戦に向け、夏合宿を行っていた。
 二年の佐野勇太(仮名)は怪談話が大好きで、寝る前によく話していた。
 ある夜、勇太は「赤い帽子」の話をする。
 夜中、少年がトイレに入っていると、どこからか鈴の音が鳴り、こちらに近づいてくる。
 鈴の音と一緒に「赤い帽子い かぶせましょかアー」という声も聞こえ、少年が「かぶせられるもんなら、かぶせてみろ」と答える。
 すると、トイレから悲鳴が上がり、皆が駆けつけると、トイレの中で少年が頭を真っ赤に染めて死んでいた…という(どこかで聞いたような)話であった。
 夜更け、西村は泉(仮名)に起こされる。
 彼はトイレについてきてもらおうとするも、西村は断り、仕方なく一人で行く。
 佐野は誰かが一人でトイレに行くのを待っていて、嫌がる西村を引っ張って、トイレに向かう。
 そこで、佐野は先程の怪談のシチュエーションを再現して、泉を脅すが、怯えた彼は窓から逃げ出し、転落死する。
 彼は地面で首の骨を折り、頭は血で真っ赤に染まっていた。
 事故を受けて合宿は中止になり、明日、帰ることになるが、夜中、佐野はトイレに行きたくなる…」

・「第27話 耳地蔵様の噂」
「中学二年生の浅野守(仮名)の通学路には変わったお地蔵様があった。
 そのお地蔵様の耳たぶは長く垂れ下がっており、それに触ると、祟られると噂されていた。
 清水香(仮名)、松本哲也(仮名)と一緒に帰っていた時、浅野は松本に挑発され、耳地蔵の左耳に触る。
 すると、朽ちていたのか、耳地蔵の左耳たぶがボロっと取れてしまう。
 浅野は気にしないことにして、帰宅するが、その夜、首筋のリンパ腺が腫れ、耳のあたりが痛くなる。
 夜通し熱が出るも、翌朝には下がり、彼が鏡でチェックすると、左耳が変な形になっていた。
 とりあえず、学校に行くが、何故か、人が心の中で思っている悪口が聞こえてくる…」

・「第28話 呪われたトンネルの噂」
「N市。
 中学二年生の酒井宏の通学路の近くに、呪われていると噂されるトンネルがあった。
 このトンネルは戦時中、防空壕として使われたが、周囲が焼夷弾で炎に包まれ、中に逃げ込んだ人が蒸し焼きになったという。
 母親の死体に守られ、何人かの赤ん坊は生きていたが、助けるすべがなく、一人また一人と死んでいき、以来、このトンネルには赤ん坊の幽霊が出ると言われるようになる。
 とは言うものの、このトンネルは中学校への近道で、ある朝、酒井は友人二人とそのトンネルを自転車で通る。
 三人は何事もなく通り抜け、学校に着く。
 そして、下校時、雨が降り始めたので、酒井はまたトンネルを通ろうとするのだが…」

・「第29話 魔の13HR(ホームルーム)の噂」
「埼玉県のあるマンモス校。
 一学年13クラスもあるが、二年13組にはあるジンクスがあった。
 そのクラスで、出席番号が13番になった者は死んでしまうと言う。
 噂によると、2年13組13番だった生徒がいじめが原因で自殺をし、その呪いらしい。
 小林研二(仮名)は当の二年13組13番になる。
 最初はビクビクしていたものの、何も起こらず、夏になる頃にはすっかり忘れていた。
 夏休みのある日、野球の練習試合がある。
 小林の背番号は13番。
 何かイヤだと思いつつ、バッターボックスに立つと、ピッチャーの影に男子生徒らしきものが見える。
 ピッチャーの暴投が頭部にあたり、小林が気が付くと、先生が車で病院に運んでいる途中であった。
 それからも「13」が彼について回り…」
(「週刊少年マガジン」1994年第40号〜第47号に掲載)

 単行本@〜Bまではモンスター描写に力を入れていた印象ですが、C巻からは「怪談」としてのまとまりに重点を置き始めたように感じます。
 どこかで聞いたような「学校の怪談」が多いですが、それでも、手術で目をメスで刺されそうになったり、カッターで耳を切り取られそうになったりとサディスティックな描写が多いのが嬉しいところ。
 「トイレの花子さんの噂」では稲川淳二さんの影響の強さを窺い知ることができます。(もろ「赤いはんてん」だし、肝心の「花子さん」、出てこないし…。)

2022年8月1〜3日 ページ作成・執筆

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