亜樹直・原作/ひきた美幸・漫画「学校の怖い噂D」(1995年3月16日第1刷発行)

・「第30話 不気味な石膏像の噂〔前編〕」
「S市に住む中学一年生、大原永介(仮名)は美術部に所属していた。
 一年部員は石膏デッサンをすることになり、各自、石膏像を選びデッサンをしていると、遅れて吉沢広行がやって来る。
 彼も一年部員であったが、部活動には大して熱心でなかった。
 彼はしぶしぶ一つだけ残っていた石膏像のデッサンを始める。
 それは「おいでおいで」をしているような手の小さな像であった。
 以来、彼は毎日、部室に姿を見せるようになる。
 しかも、口数はめっきり減り、ふざけることもなく、彼はデッサンに黙々と集中する。
 奇妙なことに、彼はデッサンを決して人には見せようとしなかった。
 彼と仲の良かった大原は彼から理由を聞こうとするのだが…」

・「第31話 不気味な石膏像の噂〔後編〕」
「吉沢の描いていたのは、石膏像とは似ても似つかない悪魔のような手であった。
 絵を見られたことを知ると、吉沢は怒りで顔を歪ませ、大原の首を絞める。
 それは中学生とは思えない力の強さであった。
 ふと吉沢は我に返り、大原の首から手を放す。
 吉沢は、違うものを描こうとしても、何故か悪魔の手を描いてしまい、描くまいとしても、気が付くと、美術室で絵を描いていると打ち明ける。
 大原は吉沢に早退するよう勧め、彼のスケッチブックと手の石膏像を美術室の戸棚に入れ、鍵をかける。
 その夜、学校に侵入者があり、美術室の戸棚が破られる。
 なくなっていたのはスケッチブックと手の石膏像で、吉沢は学校を休んでいた。
 大原は手の石膏像のことが気になり、美術の先生に尋ねる。
 それは画材業者がサービスとして置いて行ったものだが、業者は妙に挙動不審であった。
 その日、大原は部活を休み、吉沢の家を訪ねるが…」

・「第32話 首なし犬の噂」
「沢村巧(仮名)は小学三年生の時、近所で犬を拾う。
 犬は雑種犬であったが、利口で、彼は犬にジョンと名付け、とてもかわいがる。
 夕方になると、彼はジョンを河原に散歩に連れて行っていたが、ある日、彼は転んだ拍子にバイクに轢かれそうになる。
 ジョンは彼を助けたものの、首ひもが車輪に巻き込まれ、首を切断されてしまう。
 彼はジョンの墓をつくり、その死を嘆く。
 六年後、高校生になった彼は、中学時の両親の離婚や父親との不仲のせいで、グレていた。
 バイクの免許を取った彼は、暴走族の先輩から、今週、先頭を走らせてやると言われる。
 バイクは先輩が貸してくれるので、走れるのは嬉しいものの、先頭で走るのが怖くてしようがない。
 土曜日の夕方、待ち合わせ場所に行こうとした時、バイクの目の前を何かが横切る。
 それは、首のない犬であった。
 彼はジョンの幽霊だと気づき、その晩は家にこもる。
 後日、先輩には警察に捕まったと言い訳をするも、次の土曜日、また先頭を走ることとなり…」

・「第33話 ドッペルゲンガーの噂」
「中学二年の大蔵修治(仮名)と同級生の岩本順(仮名)はオカルト研究部に入っていた。
 ある日の晩、二人はゲームセンターに行く。
 対戦ゲームをしていると、岩本は向こうのゲーム筐体に自分とそっくりな人物が座っていることに気づく。
 彼は大蔵に声をかけるが、大蔵が振り向いた時にはその人物の姿はなかった。
 岩本は、ドッペルゲンガーを見た者は死ぬという話を大蔵から聞いていて、怯える。
 以来、彼は学校に来ても、黙りこくって、ぼーっとすることが多くなる。
 かと思うと、出席していたのに、昨日、休んだかどうか、大蔵に確認したりする。
 彼によると、自分が今どこにいて、何をやっているのか時々わからなくなるという。
 彼は大蔵に自分の周囲をドッペルゲンガーがうろついていると主張し、自分は本当に岩本順だよな?と大蔵に確認を求める。
 大蔵は岩本がノイローゼでないかと考えるが、ある夜、彼から電話がかかってくる。
 岩本は今、家に一人で、外には彼のドッペルゲンガーがいるらしいのだが…」

・「第34話 ダウジングの噂」
「中学一年生の盛川勇希(仮名)は同級生二人と河原にやって来る。
 彼らの目的は、ダウジング(折り曲げたワイヤーでものを探知する方法)で宝探しをすることが目的であった。
 彼らは河原をうろつくも、反応するのはガラクタばかり。
 うんざりして一休みしていた時、ロッドが急激に反応する。
 ある方向を指し示し、そちらへ向かうと、ある地点で回転し始める。
 彼らがその場所を掘ると、箱があり、中には赤さびの浮いた包丁が入っていた。
 どうも血が付いているように見えたので、彼らは慌てて箱を埋めなおす。
 夕方、彼らがバス停で帰りのバスを待っていると、盛川の持っていたワイヤーが突如、反応し、彼はワイヤーに引っ張られる。
 彼らが河原の近くの雑木林に入っていくと、空き家があり、その裏には井戸があった。
 ワイヤーは井戸に反応しているのだが…」

・「第35話 聖なる夜(クリスマス・イブ)の噂」
「高校一年生の池田玲司(仮名)は一時間以上もかけて電車通学をしていた。
 満員電車にはうんざりするものの、たった一つ、彼には楽しみがあった。
 それはドア付近に立っている少女で、音羽駅から講談駅までの間に乗っていた。
 彼は、儚げで清純そうな彼女に想いを寄せるが、どうやって声を掛けたらいいのかわからない。
 友人の桑原(仮名)に相談すると、もうすぐクリスマスなので、プレゼントを渡したらと提案される。
 彼の勧めで、池田はネックレスを買い、クリスマス・イブに彼女に告白する決心をする。
 当日の朝、彼は講談橋で降りて、彼女を追い、声をかける。
 だが、桑原が声をかけてきた間に、彼女は姿を消す。
 桑原は彼が一人で話していたと言うが、そんな言葉は耳に入らず、一日中、彼は鬱々と過ごす。
 夕方、部活等で、帰りが遅くなった彼は電車で彼女の姿を目にする。
 今度こそ、彼は彼女にネックレスを渡すのだが…」

・「最終話 冬山の尋ね人の噂」
「H県。
 ある小学校では修学旅行は11月にあり、N県の冬霧荘(仮名)という山荘に五日間泊る。
 戸丸哲也(仮名)は熱があるため、親友の平井太郎(仮名)と共に、山荘に残ることになる。
 その際、山荘のオーナーは二人に三年前の事件の話をする。
 三年前、この近くのスキー学校に来ていた小学六年生の男児が大雪で遭難する。
 猛吹雪の中、捜索は中断されるが、男児の父親は一人で雪山に向かう。
 その後、男児の遺体は発見されるが、父親の遺体は見つからず、冷え込んで雪の降る日には、山の方から自分の子供を呼ぶ父親の声がすると噂されるようになったのであった。
 しかも、亡くなった男児の名前は「太郎」で、平井はとても怖がる。
 その夜、戸丸は寒さで目を覚ます。
 窓外はいつの間にか吹雪になり、雪が積もっていた。
 もう一度寝ようとすると、外の廊下で足音がする。
 音の様子からすると、重そうな靴で、一つ一つ部屋を見て回っているらしい。
 同じく目を覚ました平井と一緒に息を凝らしていると、彼らの部屋に防寒具を着込んだ男性が入ってくる…」
(「週刊少年マガジン」1994年第48号〜第52号、1995年第1・2号、第3・4号に掲載)

 当初よりは若干マイルドにはなったものの、相変わらず、モーレツなトラウマ度のまま、突っ走る最終巻。
 ベストは、強烈なインパクトの「首なし犬」でしょう。(「首なしライダー」というのはよく聞きますが、首なし犬は初耳。)
 首なし犬がバイクと並走するシーンや、「ギロチン・ワイヤー」の描写等、チビっ子達にはかなり刺激が強かったように思います。

2022年8月2・3日 ページ作成・執筆

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