いけうち誠一「黒い蘭の罠」(1987年6月13日第一刷発行)

「大学生の野上洋子は、友人のみゆきとまち子と共に、香港に旅行に出かける。
 ツアーを脱け出した彼女達は、種苗会社に勤める下条明という青年と出会い、観光案内をしてもらう。
 日暮、高級ホテルの前で、洋子は、高校の友人、みどりと再会する。
 ちっとも冴えなかった、みどりは、中国人の張(チャン)と結婚し、整形手術を経て、見違えるほど、美しくなっていた。
 張に誘われ、洋子達は高級ホテルで夕食を御馳走になり、彼の邸へ泊まることとなる。
 張の父親は、世界的な蘭の栽培家として知られ、その広大な邸の敷地には巨大な温室があった。
 その夜、トイレに行った、まち子が行方不明となる。
 翌朝、張に、急な用事で夜遅く日本に帰ったと説明されるが、どこか胡散臭い。
 また、ホテルに帰りたくても、車が故障したと、邸に引き止められる。
 だが、みどりから、張家の人々の病気の秘密を明かされ、洋子は屋敷から逃走を図る。
 張に追われ、みどりは、珍しい蘭があるという温室に逃げ込むのだが…。
 白い雌しべが揺れ動くという、黒い蘭の秘密とは…?」

 ベテランのいけうち先生ですので、良質な作品です。
 よくある話ではありますが、よどみなく、最後まで読ませるのは流石!
 絵柄から派手さをあまり感じないかもしれませんが、蝶を握りつぶしたり、蛇を引きちぎったりする張がなかなかマッドで見応えがあります。

2019年11月29日 ページ作成・執筆

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