高階良子「血まみれ観音」(横溝正史「夜光虫」より)
(1975年7月10日第1刷・1976年6月15日第4刷発行)

「サーカスの花形の娘、潤。
 彼女は幼い頃、アザのある男に外国から日本に連れて来られ、サーカスに入れられた。
 アザの男は彼女のおじを名乗り、彼女の過去や家族をちらつかせて、彼女をいいように操る。
 更に、潤の右肩には、気味の悪い、人面のアザがあった。
 ある日、アザの男は潤を連れて、突如、サーカスを逃亡し、ドヤ街の弟分を訪ねる。
 どうも彼女には財宝の秘密が隠されているようであったが、アザの男は何者かに殺害され、潤は殺人犯として追われる身に。
 バーのママに助けられ、男装して店で働くようになったところを、バーの常連客、円城寺万三に目を付けられる。
 彼は、追手から潤を助け、「ゆうれい塔」を噂される、屋敷の時計塔に匿う。
 その屋敷で、潤は、河内博と運命の再会をする。(以前、逃亡中に一回、会ってます。)
 潤は博への想いに苛まされるが、肩の人面疽があるために、想いを押し殺すしかない。
 一方、博は、幼い頃、誘拐された円城寺潤子をいまだに探し続けていた。
 博は、亡くなった母親が遺した、右肩に人面疽のある観音像に、潤子についてのヒントがあると考えるのだが…。
 潤の過去とは…?
 また、「ゆうれい塔」に隠れ住む、謎の男性の正体は…?
 そして、財宝の手がかりを示す、観音像のありかは…?」
(「なかよし」1973年11月号〜1974年2月号連載)

 高階良子先生が、横溝正史の「夜光虫」をコミカライズしたものです。
 とは言え、私は原作を読んでおりませんので、漫画化に際しての変更についてはわかりません。(横溝正史の作品、ほとんどと言っていいほど、読んでない…。)
 正直なところ、戦前の推理小説らしく、内容は「荒唐無稽」です。
 にもかかわらず、作者がノリにノッていたのでしょうか、展開はスピーディで、ぐいぐい読ませます。
 また、「人面疽」で怪奇ムードを前面に押し出して、当時の少女達に強烈な印象を与えた模様。
 とは言え、「人面疽」の正体にはちょっぴり、ショボ〜ンですが…。

2019年9月25日 ページ作成・執筆

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