芳明慧
「蝕人孤蟲@」(2018年2月9日第1刷発行)
「蝕人孤蟲A」(2018年7月9日第1刷発行)
・「第1話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第44号)
「母が亡くなって一ヶ月、東地鉄郎の一家(父親の茂雄と妹の奈々)は七年ぶりに生まれ故郷の八女島に戻る。
母親の死因は「芽殖孤虫(がしょくこちゅう)」という謎の寄生虫に全身を冒されたことであったが、どこで移されたのか経路は不明であった。
妹の奈々は喘息持ちのため、着いてすぐに父親は診療所の佐久間医師に挨拶に行く。
その後、一家は家へと戻るのだが…」
・「第2話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第45号)
「妹の奈々は喘息の発作を起こすが、痒さを訴え、かきむしった首元から寄生虫が出てくる。
佐久間医師が診ると、左首筋、右胸部、左腹部の膨隆疹から寄生虫が幾匹か発見される。
寄生虫についてははっきりとはわからず、もしかすると、鉄郎の母を死に至らしめた芽殖孤虫かもしれない。
父親は診療所に泊まり込み、鉄郎は一人家で留守番することとなる…」
・「第3話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第46号)
「鉄郎の家に島田という猟師が突然訪ねてくる。
島田は奥さんの葉子を亡くして以来、おかしくなり、島のあちらこちらで発砲していた。
島田は鉄郎の口に手を突っ込み、丸薬をむりやり飲み込ませる。
近所のおばさんが来たので、島田は逃げるが、その丸薬については結局、謎のままで、鉄郎は自分が寄生虫に侵されるのではないかと怯える。
翌日、父と奈々は本土の病院に行き、二人を見送った後、家に戻ると…」
・「第4話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第47号)
「居間のテーブルに置かれてあった、一冊のノート。
そのノートには寄生虫に侵された人物の写真と経過報告が記入され、それが終わると、鉄郎が小学生の頃の集合写真が貼られていた。
この写真は遠足の時のもので、写真と共に「お前の罪を思い出せ」と太文字で書かれてある。
写真のクラスメートたちの名前は思い出せたが、女教師についてははっきりせず、この人が島田葉子なのかもしれない。
また、どのような罪を犯したのかも思い出せず、大事なことを忘れているという思いだけが募る。
そして、このノートを置いたのは誰なのか…?」
・「第5話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第48号)
「翌朝、鉄郎は島田と直接、話をする決心をする。
外出しようとした矢先に、小学校の頃のクラスメートの大宮樹(おおみや・いつき)が鉄郎を訪ねる。
彼は単に挨拶をしにきただけであったが、鉄郎は彼に島田について尋ねる。
おかしくなったのは妻の死後であったが、彼女は寄生虫に全身を侵されて死んでいて…」
・「第6話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第49号)
「鉄郎は樹にノートを見せる。
どう考えても怪しいのは島田であるが、明らかに普通でないので、話が通じるかどうかわからない。
それでも、いろいろと確かめるためには、島田に会って話しをしなければならない。
すると、樹も一緒に来てくれると言い…」
・「第7話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第50号)
「鉄郎と樹は島田の家を訪ねるが、留守であった。
だが、ドアが開いており、鉄郎は手がかりを求め、不法侵入する。
中は予想と違って整理整頓されており、意外に普通であった。
鉄郎は部屋に隅にある車椅子に気がつき、樹に尋ねる。
この車椅子は島田の妻の葉子のものだと言うのだが…」
・「第8話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第51号)
「樹により明らかにされた鉄郎の過去。
しかし、鉄郎の記憶は失われたままで、彼は戸惑うばかりであった。
樹に言われ、二人は島田の家を出ようとする。
運悪く、そこに島田が帰宅してきて…」
・「第9話」(単行本@/「マンガボックス」2017年第52号)
「鉄郎と樹は机や棚の下に身を隠す。
島田は彼らには気づかず、机につき、何やら始めるのだが…」
・「第10話」(単行本@/「マンガボックス」2018年第1号)
「島田に見つかり、鉄郎と樹は絶体絶命。
島田の上に棚を倒し逃れるが、棚からは寄生虫の標本瓶が幾つも転がり…」
・「第11話」(単行本@/「マンガボックス」2018年第2号)
「島田の家から逃げ出し、鉄郎と樹はこれからどうするか話し合う。
樹の勧めで、二人は八女駐在所に行くが、巡査の浅見敬介は留守であった。
その代わり、浅見敬介の妹で鉄郎の同級生だった一花と再会する…」
・「第12話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第3号)
「浅見一花は明るくて元気でなれなれしい少女であった。
久しぶりの再会に彼女は…」
・「第13話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第4号)
「巡査の浅見敬介に鉄郎は彼にノートを見せ、事情を説明する。
敬介は鉄郎の不安を見抜き、彼に駐在所に泊まるよう勧める。
とりあえず、敬介は鉄郎が着替えを取りに戻るのに同行し…」
・「第14話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第5号)
「浅見敬介は鉄郎の家をあちこちチェックする。
出入り口の鍵を補強し、近所のおばさんの様子もさりげなく探る。
駐在所に戻った後、鉄郎は敬介に何故こんなに親切にしてくれるのか聞くと…」
・「第15話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第6号)
「翌朝、鉄郎が目覚めると、敬介はパトロールに出かけ、家には一花だけだった。
一花と話しをするうちに、三崎百合子という女教師の話になる。
三崎百合子は遠足の写真に写っていた女性だと一花は言うのだが…」
・「第16話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第7号)
「島田葉子だと思っていた女性は三崎百合子であった。
鉄郎は混乱しつつも、何か大切なことを忘れているという思いを強くする…」
・「第17話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第8号)
「浅見敬介は三崎百合子が孤独死しているのを発見する。
佐久間の見立てでは死後三、四日ぐらいで、死因は芽殖孤虫によるものであった。
佐久間は世界でまだ数十例しか症例のない寄生虫が何故、短期間にこんなにも感染するのか訝る…」
・「第18話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第10号)
「鉄郎の母親も島田葉子も三崎百合子も皆、芽殖孤虫のために亡くなっていた。
奈々ももしかしたらそれに感染しており、鉄郎は何者かが意図してやっているのではないかと考える。
その時、小学校の同級生の信彦が配達に来るが…」
・「第19話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第11号)
「信彦と会った後、鉄郎は小学校の頃の同級生のことが気になり、一花に尋ねる。
基本、皆、昔とほとんど変わりはないが、柊明宏だけは五年前に亡くなっていた。
しかも、彼の死後、母親は自殺、父親は床下で死体で発見され、その後に兄が交通事故死し、一家全滅となっていた。
だが、鉄郎は柊明宏のことが全く思い出せず…」
・「第20話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第12号)
「ノートの筆跡や写真に浅見敬介は心当たりがあった。
彼はある廃墟の家に入り、中を調べる。
そこで目にしたのは…?」
・「第21話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第14号)
「嵐の前に父親と奈々が本土から戻ってくる。
だが、父親からの知らせはあまりに絶望的なものであった。
鉄郎は佐久間医師に人為的感染の可能性の有無について質問する。
佐久間も鉄郎の周囲でおかしなことが起きていることに触れ、彼に心当たりがないか問うのだが…」
・「第22話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第15号)
「佐久間医師の感染、浅見敬介の失踪…鉄郎には何が何だかわからない。
晩、診療所に奈々を預けた帰り道、鉄郎は道に敬介の制帽が落ちているのに気づく。
その道を鉄郎はおぼろげに覚えており、同時に、柊明宏のことも思い出す。
一花はこの道の先に行こうとするが、鉄郎は「嫌な感じ」を拭えない。
これにはどうやら失われた記憶と関係しているようなのだが…」
・「第23話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第16号)
「道の先には家の廃墟があった。
その近くには井戸があり、井戸を覗いた一花は悲鳴を上げる。
鉄郎も井戸を覗くが、その時、小学校の頃の記憶が一気に蘇る…」
・「第24話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第18号)
「気がつくと、鉄郎は診療所で寝かされたいた。
佐久間医師によると、彼は玄関で寝かされていたらしい。
鉄郎は蘇った記憶について医師に全て打ち明ける。
医師から心理学的説明を受けた後、彼は一花を廃墟に置き去りにしたことを思い出すが…」
・「第25話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第19号)
「鉄郎が記憶を取り戻すのを待っていた人物がいた。
その人物の正体は…?」
・「第26話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第20号)
「窮地に陥った鉄郎を樹が助けに来る。
彼は鉄郎を連れ、大人たちに助けを求めに行こうとするが…」
・「第27話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第21号)
「またもや鉄郎は窮地に陥る。
だが、その場に意外な人物が現れる。
彼もまた復讐の鬼であった…」
・「第28話」(単行本A/「マンガボックス」2018年第22号)
「鉄郎は事件の張本人に銃口を向ける。
彼は自分の過去の清算ができるのであろうか…?」
寄生虫によるパニック・ホラーかと思いきや、「寄生虫による怪死事件」と「失われた記憶」を絡めたホラー・ミステリーです。
単行本2巻しかなく、ボリューム不足や説明不足(とりあえず、知りたいのは、柊明宏の兄が父を殺したのは何故?)は否めませんが、初連載にしてはまとまりがよく、芳明慧先生のポテンシャルの高さが窺えます。
罪のない人間が何人も死ぬので後味はよろしくありませんが、ちょっと毛色の変わった作品ですので、気になった方は読まれて損はないように思います。
2026年4月25・27・28日 ページ作成・執筆