秋本葉子「蜘蛛女C」(2013年11月13日第1刷発行)

 河津チェリーは一見、普通の可愛らしい女の子。
 彼女は人の願いを叶えてくれるが、その代償とは…?

・「第十一幕 心の声」
「藤沢光里は有名企業のご令嬢。
 昌哉は彼女にとって初めての彼氏であったが、彼は彼女を単なる金づるとしか考えていなかった。
 彼のハートを掴むため、彼女は本屋で手作り弁当の本を探していると、別のクラスの河津チェリーが話しかけてくる。
 光里はお金以外に昌哉の気を惹きたいと願い、彼の考えがわかるようになれば…とチェリーにこぼす。
 チェリーは光里に彼女の願いを叶えると約束。
 翌日、光里が教室に向かっていると、左手の甲が焼けるように痛む。
 見ると、甲に「教科書ない」と文字が浮き出ていた。
 チェリーによるとこれは「彼の心の声」で、実際に彼は教科書を忘れて困っていた。
 光里は彼に教科書を貸し、彼に感謝される。
 これをきっかけに、彼女は次々と彼の望みを叶えて、彼との距離を縮めていくのだが…」

・「第十二幕 笑顔」
「咲月の家は父親、弟の走助、妹のカンナの四人家族。
 一年前に母親が亡くなってからというもの、彼女の家族は笑顔を失っていた。
 咲月はいろいろと努力するものの、無力感は募る一方。
 そんなある日、スーパーで咲月は河津チェリーという女性に声をかけられる。
 河津チェリーは家政婦で、父親に雇われたのであった。
 咲月としてはチェリーが家事を担当してくれるのは嬉しいが、他人が家に入ってくるのには抵抗を覚える。
 また、弟の走助もチェリーに不信感を抱いているようであった。
 そのうち、チェリーに対しておかしなことが起きるようになり…」

・「第十三幕 二人きり」
「古塚美波は美術部の二年生。
 彼女は、去年の文化祭の絵を褒めてくれたことで、生徒会長の岸田沙良を心から崇拝していた。
 彼女の願いは岸田沙良との「二人だけの世界」。
 新入部員で友人の河津チェリーは彼女の話を聞いて、その願いを叶える。
 気が付くと、美波は岸田沙良と見知らぬ山中にいた。
 しかも、宙に浮いている絵があり、絵の中では美術部の部員たちが絵を描いている。
 美波はここが自分の描いた絵の中だと気づくが、沙良は信じず、二人で出口を探す。
 この世界にいる間、美波は沙良と一緒でとても幸せで、ずっとここにいたいと願うのだが…」

・「教えてあげる」
「杏奈は決断力が恐ろしく乏しい女の子。
 そのため、皆からどんくさいと思われ、孤立感に苛まされていた。
 そんな彼女を救ったのが相談アプリ「KKSA」。
 これに相談すれば、的確な答えを素早く手に入れることができ、杏奈はこれにどっぷりハマってしまう。
 だが、次第に彼女は常軌を逸した行動をするようになり…。
 KKSAの秘密とは…?」

 この単行本では「二人きり」がなかなかシュールな設定で面白かったです。
 ただし、、「笑顔」はあまりにも結末が悲惨、かつ、重く、いまいちに感じました。
 「教えてあげる」は意外な着眼点が冴えており、良作と評価して差し支えないと思います。

2025年11月21日 ページ作成・執筆

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