蕪木彩子「ストレス 〜悪魔の実験〜」(1992年8月11日第1刷発行)
・「ストレス 〜悪魔の実験〜」(1989年「少女フレンド8月15日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」掲載)
「以前はやつれていたのに、今は心身ともに健康かつ爽やか、成績も上々という由紀恵。
友人のまみと和子は彼女の変化に興味津々で、彼女に理由を尋ねる。
由紀恵は、夏木昌也という青年と親しくしており、彼からストレスに効く注射を打ってもらったと話す。
夏木昌也は大学病院の医学者で、ストレスに関する研究を行っていた。
まみと和子は昌也に引き合わせてもらい、和子はその注射をしてもらうが、まみは夏木に不審を抱き、遠慮する。
和子は、注射が効いて、ぽっちゃりから、スリムな美人へと変身。
だが、注射の副作用が由紀恵に現れ始めていた…」
・「ストレス2 校医先生の蟲地獄」(1990年「少女フレンド1月5日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」掲載)
「校医として高校に赴任した夏木昌也。
いまだに彼は周囲の人間を実験台にしながら実験を続け、不快な奴らは、家で大量に飼っているミミズのエサにしてしまう。
そして、ストレス解消薬を飲んでも、副作用の出ない秋葉祥子に目を付けるのだが…」
・「ストレス3 ストレス怪物(モンスター)」(1990年「少女フレンド4月1日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」掲載)
「全身に大火傷を負った夏木昌也は、静養を兼ね、ストレスに効果のあると言われる温泉にやって来る。
ストレス解消薬の研究は進み、目に見えるかたちで、ストレスを体外に排出できるところまでこぎつける。
温泉宿では、宿の主人の娘、直美と夢子の二人と親しくなるが、リゾート開発を巡り、温泉宿を陥れる陰謀が進行していた…」
・「ストレス4 マッド・ドクター夏木の薬物療法」
「戸川陽一は、夏木昌也の研究所に厄介になる身。
孤児だった彼は、児童福祉施設で辛酸をなめた後、いじめや家出等、トラブルが続き、ストレスで内臓を痛めたところを、夏木と出会う。
ストレス治療は順調に進み、本来の明るさと健康を取り戻した彼は、普通の高校生活を送ることができるようになる。
そんなある日、陽一に興味を持つ女子高生、なつみと理佐が夏木の研究所にやって来る。
彼女達は研究所で一夜を過ごすこととなるが、夜中、理佐は地下室で夏木の患者が副作用を起こして、死亡する場面を目にしてしまう…」
・「ストレス5 醜い顔」(1991年「少女フレンド1月5日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」掲載)
「幼い頃からの湿疹が腫瘍化し、顔が奇形となった、ちづる。
学校では、お嬢さま面した美花を中心にいじめられ、そのストレスからまた湿疹が悪化するという悪循環に悩まされる。
夏木昌也(整形手術を受け、好青年に復活)のストレスに関する研究を知り、彼女は新薬の実験台に打って出る。
治療は効を奏し、美しくなった彼女は、彼女をかばってくれた、お嬢の取り巻きのシゲルと仲良くなるのだが…」
ストレス解消薬のために、スプラッターな実験に勤しむマッド・ドクターの連作です。
第三話から夢子という少女が彼のパートナーとなり、だんだん(表面上は)ハート・ウォーミングな話が増えてくるのですが、これってもろ「ブラック・ジャック」風で、ギャップがいろいろと味わい深いです。
結局、ネタに詰まったのでしょうか、マッド・ドクター夏木の話は五話で終わってしまった模様です。
あと、残酷シーンはハーシェル・ゴードン・ルイス「カラー・ミー・ブラッド・レッド」の影響があるような気がしております。
2018年10月27・28日 ページ作成・執筆