犬木加奈子「不思議のたたりちゃんB」(1994年6月13日第1刷・1995年3月5日第5刷発行)

・「その1」
「12月12日」
 登校途中、多々里は男子生徒二人からいじめられる。
 母の手編みのマフラーで首を絞められ、大切なマフラーが伸び伸び。
 たたり発動で、男子生徒の身に起こったこととは…。

「12月24日 サンタが家にやってくる…」
 ある女子生徒にパーティに招待された多々里。
 ちょっぴりおめかしもして、ささやかなプレゼントもつくって、訪問するものの、実際は単なる雑用係。
 散々こき使われた挙句、プレゼントも踏みにじられ、遂にたたり発動。
 その夜、女子生徒達を訪れたのは…。

「12月28日 しりもちつき」
 学校でのもちつき大会。
 そこでもいじめを受け、泥だらけのもちを食べさせられる破目に…。
 食べ物を粗末にするクラスメート達にたたり発動!!

「1月3日 ふく笑いで初笑い」
 新年の挨拶に神野家を訪れた、山野のおばさま。
 多々里はいとこで、六つ年下のこだまの相手をすることとなる。
 わがままで、利かん気が強い、こだまに多々里は引っ張りまわされる。
 顔面に直に福笑いされるに及んで、多々里も堪忍袋の緒が切れる…。

「1月11日 恥の書き初め」
 校内の書き初め大会。
 不器用な多々里はある女子生徒の顔に墨をつけてしまい、倍々々返しにあってしまう。
 顔拓を取られ、さらし者にされた多々里は、その女子生徒にもきっちり同じ思いを味わってもらう…。

・「その2」
「8月9日 舟幽霊」
 夏休み、泳げない多々里は特別講習に出て、特訓を受ける。
 水泳の上手なサメ子は、水中で多々里の足を引っ張り、溺れさせる。
 また、サメ子は多々里にプールで水泳特訓中に溺れ死んだ女子生徒の作り話をして、脅かす。
 しかし、サメ子がプールでいたずらをした張本人であることに、多々里が気付いた時…」

「8月13日 スイカ割り」(注1)
 多々里はお遣いでスイカを運んでいる最中、いじめっ子の青田と赤羽にあってしまう。
 スイカは割られ、多々里自身もスイカ割りの的とされる。
 あまりの仕打ちに、たたり発動、割られたスイカと同じ目にあってもらうのだった…。

「9月1日 2学期は闇の教室に集まれ!」
 夏休みが終わって、登校日初日。
 遊びほうけていたクラスメート達は、多々里の宿題を写すものの、鬼喜田先生にバレ、大目玉。
 大量のプリントをすることとなる。
 更に、多々里の描いた絵がコンクールに出展されることとなり、クラスメート達の敵意が多々里に集中。
 自分のことを棚に上げて、多々里に責任を全て押し付けるクラスメート達は、多々里の絵に落書きしてダメにしてしまう。
 が、きっちりその報いを受けることとなるのだった…。

・「その3」
「ある雪の日。
 登校途中、いじめっ子二人に捕まった多々里。
 手袋を逆さに言うよう言われ、「六ぶて」されてしまう。
 そこで、多々里は「ロクブテ返し」で仕返しする…」

「大雪注意報が出て、授業は終了。
 帰ろうとするも、女子生徒達からいじめを受け、多々里は人間雪だるまにされてしまう。
 身も心も冷え切った多々里は、女子生徒達にその冷たい心にふさわしい報いを受けさせる…」

 個人的には、「2学期は闇の教室に集まれ!」が好きです。
 鬼喜田先生、いいキャラですよね。

・注1
 このマンガ、犬木加奈子先生のお師匠様の一人、日野日出志先生の影響が窺えまして、心が和みます。
 スイカと顔が入れ替わるのは「まりつき少女」からでしょうし、包丁で頭が真っ二つ(注2)は、真夏を舞台にした怪奇マンガの頂点「うろこのない魚」からだと思います。
 それにしても、「スイカ」と「生首」は相性がいいようです。
 赤い中身から血への連想が働くのでしょうが、岡本綺堂「西瓜」によると、享保十九年(1724年)頃からそういう話はあったようです。
 個人的には、邦画の「ハウス」ですね。
 小学生の頃、ビデオで観た時、「おそろシッコ〜」(by 茶魔語)でした。
 大人になって再見してみたら、映画のポップさにびっくり。
 ただ、生首スイカを食べている最中、口元から目玉が覗くシーンは今でもダメです。

・注2
 昔、ホラー映画のビデオで「オープンハウス」というのがありまして、「女性の頭真っ二つ」なグロテスクなジャケットがインパクト大でありました。
 20年以上前に観た映画ですので、内容はさっぱり覚えておりませんが、「女性の頭真っ二つ」は映画の中に出てなかったことだけはしっかり記憶しております。
 だまされた〜…けど、まあ、いいや。

 
2016年4月21日 ページ作成・執筆

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