船木美登利「バラの殺意」(1986年9月13日第1刷発行)

「母を亡くし、天涯孤独の身となった森本麻衣は、瀬戸内に浮かぶ小さな島へ、弁護士の田島に連れて来られる。
 その島は財産家の雨宮家の所有であった。
 雨宮家の家系は近親相姦の歴史であり、十九代当主、雨宮左近は新しい血を入れるため、彼女を島に呼び寄せる。
 だが、財産相続の問題があり、親族の誰もが彼女を快く迎えない。
 その中で唯一、彼女に好意を示したのは、生という青年であった。
 彼の出生は複雑で、当主とその妹の間に生まれた蒼一郎と、当主の次女、雪絵との間に産まれる。
 蒼一郎は島を出て亡くなり、奔放な雪絵は他に男を作り、彼を顧みず、長女の美佐江がずっと病弱な彼の世話をしてきたのであった。
 麻衣が島に来て程なく、左近が急死する。
 その遺言状では、生と麻衣のそれぞれに、雨宮家の財産の30%が与えられることとなる。
 しかも、彼女と結婚する者が、次の雨宮家の当主となるのであった。
 この話を聞いて、雨宮家の若い男達は彼女を手に入れようと動き出す。
 また、雪絵の長女、美夜は、生を麻衣に奪われないように、嫉妬の炎を燃やす。
 だが、麻衣に色目を使う男達が次々と殺されていく。
 殺人者の正体は…?」

 人間関係が非常に複雑で、冒頭の家系図がなかったら、内容がさっぱりわからなかったと思います。
 ミステリーとしてはまあまあの内容ですが、どこかすっとぼけたところのあるヒロインをどう感じるかで評価がわかれるかも…。(ぐずぐずしているうちに、人がどんどん死んでいくパターンです。)
 一昔前のミステリーのように人間関係がドロドロしていて、読後、どんよりとした感じしか残らない作品でした。

・備考
 背表紙色褪せ。

2020年11月8日 ページ作成・執筆

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