曽祢まさこ「わたしが死んだ夜」(1979年11月5日第1刷・1986年6月13日第26刷発行)
収録作品
・「わたしが死んだ夜」(「なかよし」昭和54年1月・2月号掲載)
「マサチューセッツ州、東部。
クレア=ハミルトンとエバ=ハミルトンは一卵性双生児で、鏡に映したかのように瓜二つ。
二人とも、祖父譲りの美しい金髪を持つ、可愛らしい女の子であったが、幼少の頃から、互いを嫌悪する。
二人とも同じものを欲しがり、しかも、考えることまでもが一緒。
もう一人の自分に対抗意識をいくら燃やしても、相手を引き離すことはできないことに苛まされながら、二人は美しく成長する。
二人が高校生の頃、クレアはレインという青年と偶然に知り合い、恋に落ちる。
しかし、エバも彼を知り、徐々に彼に心が傾いていく。
そんな時、祖父が亡くなり、二人は祖父の日記を読む。
日記には、祖父が、一人の女性を巡って、双子の弟とトランプで賭けをして勝った旨、書かれていた。
エバにレインを取られることを恐れていたクレアはエバに、賭けで決着を付けようと提案する。
祖父の遺品の拳銃でロシアン・ルーレットをして、負けた方はレインから手を引くというものであった。
賭けの勝者はレインを手に入れ、もう一人の自分から解放されたに見えたが、彼女を待つ運命は…」
名作です。
怪奇マンガというよりも、曽祢まさこ先生お得意の、心理描写の冴えたサスペンスであります。
ロシアン・ルーレットの描写は「ディア・ハンター」(未見)の影響でしょうか?
・「緋色のマドモアゼル」(昭和54年「なかよしデラックス5月号」掲載)
「フランス。
資産家の娘、アデルは、美しい疫病神。
幼い頃から現在まで、アデル本人にとっては罪のない「わがまま」が、様々な人間に破滅と不幸をもたらしていた。
そんな彼女が運命的な出会いをする。
相手は、高校師範の秀才、ジャン=ルイであった。
聡明かつ徹底して理性的なジャン=ルイと、自分の欲求のみに従って生きるアデルとは、水と油かと思われたが、互いに惹かれ合う。
だが、アデルの「美しい疫病神」としての過去が、二人の間の障害となっていた。
そこで、アデルはジャンに、互いに信じ合い、決して嘘をつかないことを約束する。
婚約パーティの後の一週間、二人はリヨンにあるアデルの屋敷で過ごすことになる。
楽しく一週間を過ごすつもりが、差出人不明の手紙が毎日、アデルのもとに届くようになる。
その手紙は、アデルの過去を弾劾するものであった。
アデルは手紙の差出人を想像し、不安と疑惑に苛まされるようになる…」
「緋色のマドモアゼル」(講談社)にて再録されております。
2017年11月8日 ページ作成・執筆