曽祢まさこ「悪魔の十三夜A」(1987年2月6日第1刷発行)

「村にいることに危険を感じ、マデリン一家はひっそりと北部の村に引っ越す。
 新しい生活が始まったにも関わらず、マデリンの心ははずまない。
 懐かしいホリーフィールドでの思い出、そして、ゆっくりと愛情を育んできたクリフとの思い出…。
 しかし、そんな平穏な生活も破られる時が来る。
 マデリンの一家の裏にあった沼から骸骨が発見され、ロンドンを訪問中のマデリンの母親は警察の手が迫る。
 どうにか警察の手から逃れた母親だったが、負傷してしまう。
 命を長引かせる為に、犠牲者を求める彼女だが、深い霧の中から現れたのは、ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)であった。
 切り裂きジャックを撃退したものの、深手を負った母親は「無」へと返る。
 マデリンとディオンの運命は…?
 そして、マデリンの秘められた過去が明らかになる…」
(「なかよしデラックス」昭和61年9月号〜12月号掲載)

 完結編となる二巻では、母親を失ったマデリンの成長を描いております。
 通して見ると、テーマは「家族愛」だったと思います。
 愛する者を守るためなら鬼にでも悪魔でもなる…そういう運命を担った人間達の孤独を描いた、数少ない傑作なのではないでしょうか?
 その点が、年を重ねるごとに「人情もの」に弱くなるオヤジである私の琴線をびんびんと震わして止みません。

平成27年6月5日 ページ作成・執筆

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