高階良子「ガラスの墓標」(1978年4月5日第1刷・1984年6月10日第27刷発行)

 収録作品

・「ガラスの墓標」(「なかよし」昭和50年7・8月号掲載)
「陣代零は宇宙開発研究所の有能な職員。
 彼の肉親は義妹、美幸のみ。
 二人は血はつながっていなかったが、兄妹を超えた愛情で結ばれていた。
 美幸の十六歳の誕生日、零は研究所で事故に巻き込まれ、身体のほとんどが麻痺してしまう。
 研究所の野々村博士は、コンピューターの代わりに人間の脳を宇宙ロケットに組み込む計画を持っており、零の脳髄を入手すべく画策。
 研究所員の賛成を得て、博士は零を家から研究所へ誘拐する。
 親友の池畑にも裏切られ、憎しみの塊となった零は、博士の提案を承諾。
 零は直ちに手術され、彼の脳は、ガラスケースを満たした培養液に漬けられ、機械装置が身体の代わりとなる。
 だが、研究所では次々と奇怪なことが続発。
 身体の桎梏から解き放たれた、零の脳髄は、精神力を増幅させて、超能力を得たのであった。
 一方、零の幽霊を見た美幸は研究所に忍び込み、義兄が実験に使われたことを知る…」

・「わたしの中にへびがすむ!」(原作/剣持亘)(「なかよし」昭和50年5月増刊号掲載)
「村上美佐子は、巨大な双頭の蛇に襲われ、幾匹もの蛇が身体の中に入っていくという夢を見る。
 以来、ひどく寒がりになり、身体の至る所にウロコのようなできものが広がる。
 これは、考古学者である、美佐子の親戚が、蛇神を祀った祠を壊し、御神体を汚したことが原因であった。
 美佐子の容貌は蛇に酷似するようになり、遂には、蛇神に心を支配されるようになる。
 ある日、美佐子の家を、蛇神の祠を守っていた老人が訪れる。
 彼は、美佐子のボーイフレンドの辰夫の協力を得て、美佐子を蛇神から解放しようとする…」

・「バイオレットシャトーの昼さがり」(「なかよし」昭和52年12月増刊号掲載)
「日本の陰の首領、関口万二郎の一人娘、関口あざみ。
 彼女は通称、「天下御免のおにあざみ」であり、できないことは何もない。
 ある日、彼女は、佐賀俊行というナイス・ガイと知り合う。
 彼は、二年前、家庭の事情で離ればなれになった恋人を探して、上京してきたのであった。
 彼の男らしさにあざみは好意以上のものを寄せるが、彼は恋人一直線で、あざみの干渉をはねつける。
 そんな彼にあざみは彼女独自のやり方で手助けをするのであった…」

 「ガラスの墓標」は、「地獄でメスがひかる」と並ぶ、SF怪奇ロマンの名作。
 ただ、100ページぐらいしかなく、ちょっぴり物足りない感じがします。
 是非とも、研究所で大虐殺をして欲しかったところです。
 「わたしの中にへびがすむ!」は、高階良子版「へび少女」で、個人的に大ヒット!!
 「へび少女」のセオリーに則りながらも、そんじょそこらの二番煎じとは迫力が違います。(注1)
 また、エグいだけでなく、ヒロインが蛇に乗り移られる夢等、エロチックな雰囲気がほのかに漂っているところも好感度高し。
 んで、ラストは、「蛇神 vs 龍神」の「エクソシスト」な戦いに突入。
 「へび少女」テーマの作品としては、いい線行っていると思います。
 「バイオレットシャトーの昼さがり」に関しては、陰気な目付のあざみさんが、今度は金持ちのお嬢様となって、大活躍…という内容です。
 読んで感じたことは、まあ、「ツンデレ」なんですな。

・注1
 ダメ映画「怪奇!蛇人間スネーク」に出てくる蛇人間の一憶倍は迫力があります。

2017年7月26日 ページ作成・執筆

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