竹崎真実「シルフィードの罠」(1994年9月13日第1刷発行)

 収録作品

・「シルフィードの罠」
「栗原みずきは、演劇部に所属する高校一年生。
 彼女は、演劇部部長、蓮城崇志に恋をしていた。
 彼は文化祭の劇のために「シルフィードの罠」という脚本を書く。
 それは、火星の高い塔に住んでいる最後の「シルフィード(空気の精)」が、地球からやって来た「情熱」という少年に恋をするというストーリーであった。
 みずきは過激なダイエットを続け、シルフィードの役を得る。
 だが、もっとシルフィードに近づきたいと願い続けた結果、彼女は拒食症となる。
 蓮城崇志の弟、明は、痩せていく彼女が心配でたまらないが、自分の想いをうまく伝えられない。
 強制的に入院させられた、みずきは、文化祭の前日、病院を脱け出すのだが…」

・「学園奇譚 逆回りの時計」
「高校一年生の森丘夏美は、ぼんやりうっかりな女の子。
 彼女は友人から「逆回りの時計の話」を聞く。
 旧校舎五階の理科準備室にある時計は壊れていて、きっちり三十分遅れていた。
 ある日、理科準備室を訪れた女子生徒は、凄い吐き気に襲われ、外に出ると、そこは三十分前の世界だったという。
 興味を持った夏美が旧校舎の理科準備室を訪れると、話に聞いた通りに、三十分間、時間が逆戻りする。
 以来、彼女は、この時計を使い、失敗をカバーし、また、イケメンの矢上と付き合うことにも成功。
 しかし、この秘密を、若宮冴子という女子生徒に知られてしまう…」

 拒食症をテーマにした「シルフィードの罠」は怖いというよりエグい内容で、読むのがつらかったです。
 それよりも、SFホラー「学園奇譚 逆回りの時計」の方が面白く感じました。
 ただ、こういうよくある話(注1)は、オチが肝心なのですが、すっきりしないのが、残念です。

・注1
 例えば、手塚治虫先生「ザ・クレーター」の一編「大あたりの季節」。
 この手の話のオリジナルは、海外のSFにあるんでしょうね。

2021年5月10日 ページ作成・執筆

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