梅野花「怪談夕闇少年」(2014年8月6日初版発行)

 収録作品

・「怪談夕闇少年」
 左目に眼帯、そして、首から下の露出した部分は包帯に覆われた少年、椿。
 彼が店主を務める黄昏堂では、奇妙な品物を扱っていた。
 黄昏堂に迷い込んだ少女達の運命は…?
「恋の花」(「別冊フレンド」2013年8月号付録)
 美化委員の坂本千鶴は、河井潤という男子生徒にずっと片想いをしていた。
 ある日、彼女は黄昏堂のショーウィンドウに「恋の花」という商品を目にする。
 椿によると、これは「意中の相手と恋人気分になれる不思議な花」で、育て方は簡単、「種を意中の相手の髪の毛と一緒に土に埋め 水を与えるだけ」。
 ただし、花の寿命は一週間だけだと注意される。
 次の日、千鶴が早速試してみると、河井の顔をした花が咲く。
 最初はビビったものの、花顔の彼は彼女にラブラブで、話しているだけで、もうサイコー!!
 毎夜、寝ずに彼と話し込んでいたために、彼女はやつれていくが、ある時、現実の河井と花顔の彼をごっちゃにしてしまい…」
「替え魂香」(「別冊フレンド」2013年11月号付録)
 大谷有紗は、ブリッ娘の北代雪音に嫉妬していた。
 と言うのも、彼女は男子達にモテモテで、取り巻きの一人に、有紗の片想い相手の安藤がいたからであった。
 ある日、有紗は、椿に声をかけられ、替え魂香を勧められる。
 このお香に「入れ替わりたい相手の名前を書き入れ焚くだけで 簡単にお互いの魂を入れ替えることができる」という。
 しかも、このことは香を焚いたものの記憶にしか残らないらしい。
 帰宅後、有紗が替え魂香を試してみると、翌朝、北代雪音に変化していた。
 だが、そこで、北代雪音の本性を目の当たりにすることとなる…」
「キズナの水」(「別冊フレンド」2014年7月号付録)
 実奈は、二年の津田大智先輩に片想い中。
 ある日、黄昏堂に立ち寄った彼女は、椿から「キズナの水」を紹介される。
 これは「相手に興味・好感をもたせ自分との結びつきを深める水」で、使い方は「相手にこの水を混ぜて飲ませるだけ」。
 多く飲ませる程、効果は強いが、水の量は一回につき二滴まで。
 また、効果は三日程度で、効果が切れた時は、追加したら、持続するという。
 実奈が実際に試してみると、効果は抜群で、あっという間に親しい仲になる。
 最初は三日だけのつもりが、実奈は彼との関係を維持したくて、薬を追加。
 親友で、幼馴染の恵利香が止めるのも聞かず、実奈は彼を独占するために、薬をどんどん使っていって…」

・「カエルのお姫さま」(「別冊フレンド増刊 別フレ」2012年夏号)
「笹原は、地味な自分にコンプレックスを持っている少女。
 ある日の帰宅途中、彼女は傷ついたカエルを見かけ、家で手当てをする。
 その際、カエルが顔にとびつくが、何と、その部分のそばかすが消える。
 どうもカエルの体液には顔を美しくする効果が、一日限定だけであるが、あるらしい。
 ある時、彼女はイケメンの男子生徒に声をかけられる。
 それがきっかけとなり、彼女は美しさを求めて、カエルからムリヤリ体液を搾り取るようになり…」

・「巻末 おまけマンガ」
「椿シリーズの中で誰が一番の被害者か?」

 梅野花先生の二冊目の単行本かつ初めてのシリーズものです。(続きはあるんでしょうか?)
 非常に読みやすく、かつ、面白い内容で、作者の安定した実力を感じます。
 「学園伝説ハサミ女」よりドロドロは(多分)しておりませんが、奇想は健在で、ホラー好きなら充分、お勧めできる内容だと思います。

2020年10月11日 ページ作成・執筆

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