佐伯かよの「黄泉からの声」(1987年6月13日第一刷発行)
収録作品
・「黄泉からの声」(1980年「ポップティーン」12月号)
「淳一郎、高村真紀子、裕介の三人は、予備校に通う仲良し三人組。
彼らの住む町で、自殺者が頻発する。
それはその地域だけの問題ではなく、日本、いや、世界的な現象であった。
更に、自殺者は「進め…」「進め…」という声に従って、否応なく自殺へと駆り立てられたらしい。
天才肌の裕介は、この現象にある仮説を立てるのだが…。
一方で、母親の期待に押し潰されそうな真紀子は、徐々にその声の虜になっていく…」
・「午後5時1分前…!」(1973年「りぼん」10月増刊号)
「小嶋史郎と児玉光子は幼馴染同士。
光子は普通の女子高生であったが、突如、不思議な能力に目覚める。
彼女が願ったことは全て、その通りとなるのであった。
彼女は、想いを寄せる小嶋史郎のために、その能力を使うが、逆に、史郎に不審を抱かせてしまう。
また、彼女の願いが実現したことから、多数の悲劇がもたらされる。
その恐るべき能力は彼女を容赦なく追い詰めていき、その果てには…」
・「割れたカップ」(1974年「りぼん」4月号)
「秀才ばかりが集まる青蘭学園。
一年生の的場美也子は、美人であったが、成績はどん底で、クラスの孤立する。
彼女は優秀な父親や兄姉と同じように、エリートコースを進むべく、この学園に裏口入学させられたのであった。
ただ一人トップクラスの成績の片岡葉子だけは、美也子に関心を持ち、親切にする。
ある夜、散歩に出かけた美也子は、事故か自殺か、歩道橋の上から転落する。
走行中の車のボンネットに落ち、頭からフロントガスに突っ込んだものの、幸い、傷は軽く、脳波にも異常は見られない。
この事故以来、美也子は記憶力や思考力は冴え始め、成績はぐんぐん上昇する。
だが、美也子は、原因不明の頭痛に度々襲われるようになり…」
・「白い世界」
「圭子は、自分の容姿にコンプレックスを抱く、内気な少女。
彼女は平野二郎という青年に想いを寄せるも、積極的になれず、美人で自信家の礼子に憧れる。
ある夏の日、海に突き落とされた圭子は、自分の意識が礼子と入れ替わっていることに気付く。
どうも、自分が礼子だったら…と強く願いながら、意識を失うと、彼女の身体に入れるらしい。
これを利用して、圭子は、礼子の身体に入り込み、二郎とデートをして過ごす。
別れ際、彼女は、彼が夏祭りの後、引っ越しをすると聞かされる。
圭子は、これを最後と、礼子の身体で、彼に会うのだが…」
・備考
シミや汚れ、多し、特に、小口と「白い世界」の上部がひどい。カバーの後ろ側の袖に折れ。
2020年9月7日 ページ作成・執筆