犬木加奈子「かなえられた願いA」(1994年7月13日第1刷発行)

 収録作品

「かなえられた願い」(1992年発行「少女フレンド9月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
 悪魔を捕まえる方法について書かれた本。
 その方法とは、満月の13日の金曜日、午前零時に手鏡を二つ合わせ、悪魔が鏡から鏡へとび移る瞬間に、小瓶に封じ込めるというものであった。
 その際、悪魔は、逃がすことと引き換えに、一つだけ願いを叶えてくれるのだと言う。
 その本を手に入れた少女達が悪魔に何を願うこととは…?
・「第1話 欲望の虜」
 スミレは人の物を見ると、欲しくて欲しくてたまらない。
 ある日、偶然に「悪魔の書」が彼女のもとに配達される。
 早速、彼女は悪魔に、人の物は必ず手に入るように願いを叶えてもらう。
 だが、いくら手に入っても、それが自分にふさわしいかどうかは別問題。
 彼女の欲望は雪だるま方式に膨らんでいき…。
・「第2話 うらめしや」
 まま子は自己中心的な女の子。
 友人達に泥棒呼ばわりされたのも、先生にカンニングの疑いをかけられたのも、全部、向こうが自分に責任転嫁したせい。
 逆恨みをした、まま子は当てつけに悲惨な死に方をして、幽霊となろうと考える。
 そんな時、「悪魔の書」を発見し、願い通りに幽霊にしてもらう。
 幽霊になった彼女は、自分の葬式の時、友人達や先生の前に化けて出るのだが…。
・「第3話 楽しい家族」
 ルルの両親は、父親はアル中、母親はヒステリーかつ怠惰な女で、二人は絶えずいがみ合ってばかり。
 放置された幼いルルは、犬のロンと猫のチロを相手に、互いに励まし、慰めながら、支え合う。
 ある夜、ロンがゴミ箱から「悪魔の書」を持って帰る。
 偶然が重なり、酒瓶の中に捕えられた悪魔に、ルルは自分を愛してくれる両親を望むのだが…。
・「第4話 幸福なお嬢さま」
 資産家の父を持ち、美貌にも恵まれたお嬢さま。
 彼女は、町の老人からわずかな金銭と引き換えに「悪魔の書」を手に入れる。
 悪魔を呼び出した彼女は悪魔に、自分の身体を宝石に変えるよう願う。
 彼女は、自分の美貌が宝石の輝きに劣ることに我慢ができなかったのであった。
 願い通り、宝石に変えられた身体を彼女は人々に誇示するのだが…。
・「第5話 お話し上手」
 動物が大好きなロロ子はコミュ障の少女。
 母親にもクラスメートにも思うように気持ちを伝えられず、彼女は孤独を感じる。
 彼女が心を通じ合えると考えるのは、動物達だけであった。
 ある日、本棚を整理している最中に、彼女は「悪魔の書」を見つける。
 悪魔を呼び出したロロ子は、動物と話せるようになることを望む。
 大好きな動物達と思う存分、彼女は言葉を交わせるようになるのだが…。
・「第6話 ハッピーエンド」
 童話のような素敵なハッピーエンドに憧れる少女、ルン子。
 彼女は古書店で「悪魔の書」を手に入れ、悪魔を呼び出す。
 彼女が悪魔に願ったことは、「シンデレラ」のヒロインとなることであった。
 念願叶って、童話の主人公になったまでは良かったのだが…。
・「第7話 すべての老人に愛を」
 家族に疎まれ、孤独な境遇の老婆。
 過去、子供や孫を愛を込めて世話してきたが、今、その見返りは「ボケ老人」呼ばわりされることだけ。
 友人の老婆を訪ねた際、その友人はずいぶん前に孤独死していた。
 その死体の脇には、「悪魔の書」と、それに挟まれた老婆への手紙があった。
 手紙には、悪魔を捕まえ、手紙に同封されている「取り立て書」を見せるようしたためられていた。
 老婆は遺言通りに悪魔を捕まえるが、その「取り立て書」の内容とは…?

「ダイエットにご用心」(1992年発行「少女フレンド4月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
 のん子の友人のマルミは、大の食いしん坊。
 だが、憧れの彼に太ったと言われ、俄然ダイエットを開始。
 そんな折、山場という女子生徒が、食べれば食べる程、痩せるという特別なダイエットを知っていると言う。
 マルミは早速そのダイエット法にとびつき、のん子の制止も聞かず、食べまくる。
 のん子は山場を不審に思い、放課後、山場とマルミの後をつけるのだが…。
 山場と、その特別なダイエットの正体とは…?

 巻末に、「犬木加奈子イラスト劇場」あり。

2017年11月22日 ページ作成・執筆

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