御茶漬海苔「妖姫」(1996年10月11日第1刷発行)
・「鬼が来た」
「石田正男・優子の夫婦。
二人の家に一週間ほど、東京の姑が滞在することになる。
優子はアリサという猫を大切にして、アリサは三匹の子猫を産んだばかり。
だが、優子が夕飯の買い物に行っている間に、アリサは惨殺され、子猫の姿はなかった。
姑は、怪しい男が入って来て、アリサを殺し、子猫を連れ去ったと言う。
優子は姑の右手に巻かれた包帯からある疑惑を抱く…」
・「地獄の食事」
「四魔誠・千草の夫婦。
誠の父親が亡くなり、夫婦は母親を引き取ることになる。
姑は千草のやることにいちいちケチをつけ、彼女の代わりに、誠の世話を焼くようになる。
千草が夫に母親に出て行ってもらうよう頼んでも、彼は母親の味方をするばかり。
遂に、本性を現した姑を前にして、千草は…」
・「少年の愛」
「杉田未里は若く美しい人妻。
彼女の向かいには、秀夫という受験生が住んでおり、東大目指して受験勉強に励んでいた。
ある日、未里は、彼が娘にふられるのを目撃する。
しばらくして、近所で女子大生暴行殺人事件が起こるが、被害者は彼をふった女性であった。
ある日、主人がいない時、秀夫が未里を訪ねてくるのだが…」
・「やせている女」
「細井直美は非常にスレンダーで美しい女性であった。
自分もやせ型の男は結婚するなら「やせている女」と決めており、彼女をデートに誘う。
その後はとんとん拍子でことが運び、二人は結婚する。
だが、直美は、気が付くと、絶えず何か食べているようであった。
いろいろと言い訳はするも、段々太ってきている。
彼は「太っている女」は嫌いで、家に帰らなくなるが…」
・「主人」
「ある団地。
夫は三日間の出張に出かけ、娘の真由が遊びに出た後、花絵は不倫相手の岸岡を呼び出す。
だが、突如、夫が帰宅し、包丁で襲い掛かってくる。
花絵は岸岡をかばって、夫の胸にハサミを突き立て、殺害。
とりあえず、死体を風呂場に運び、明日、岸岡と車で捨てに行くことにする。
しかし、真由は夫の出張が中止になったことを知っていて、父親の帰りを楽しみにする。
その夜、夕食をとろうとした時、誰かが部屋を訪れる。
それは死んだはずの夫であった…」
・「電話」
「白木陽子は念願の大和出版に入社し、東京のマンションで一人暮らしを始める。
一週間後、彼女のもとに夜、電話がかかってくるようになる。
それは見知らぬ男性からで、彼女のことが好きになったので、会ってほしいと頼まれる。
彼女は電話を気味悪がり、決して彼と会おうとはしない。
それに、彼女は編集長の東海に想いを寄せていた。
ある夜、電話の男が彼女の部屋の前までやって来る。
彼女に想いを拒絶され、男はマンションから飛び降り自殺をする。
その後、陽子は東海と結婚するのだが…」
・「美人」
「新入社員の竹田はとってもハンサム。
彼には整形の噂があったが、彼は否定はしないし、整形した個所も教えない。
姫美は彼の顔に興味を持ち、あれこれ詮索する。
そんな彼女に、彼は「人間は中身です。顔じゃないんです」と話す。
すると、姫美は…」
・「一人暮らしの女」
「青空ひとみは岡田商事に就職する。
山村アパートで一人暮らしを始めるが、このアパートには男の幽霊が住んでいた。
ある日、彼女は課長に残業を頼まれ、セクハラされそうになる。
幽霊が助けてくれるが、課長が彼女の家まで追ってきて…」
・「キレイ好きな人」
「フラワープランという会社。
デザイン部の清川はとてもきれい好きであった。
ある日、彼女が企画部を訪ねると、あまりの乱雑さに卒倒しそうになる。
独身の部長はズボラな性格で、十年は掃除してないらしい。
彼女は義務感に駆られ、企画部の部屋を掃除して、キラキラのピカピカにする。
更に、部長の服をクリーニングに出し、彼女は彼と夕食に行く。
彼女は彼のマンションに行くのだが、想像を絶する汚さに今度こそ本当に卒倒する。
それにもめげず、彼女は彼の部屋を整理しようとするのだが…」
「妖姫」は「姫」の続編で、ある女性誌(レディースコミック誌?)に一年間、連載されたようです。
「主人」が、奇妙な余韻を残して、白眉なのではないでしょうか?
「美人」「キレイ好きな人」なんかは世間ではよくある話かも…。
2022年8月11・12日 ページ作成・執筆