望月峯太郎「座敷女」(1993年7月6日第1刷・2012年3月16日第38刷発行)

・「第1話 玄関」
「森ヒロシは、東京のある大学の政治経済学科に在籍する、今時の学生。
 アパート住まいの彼はコンビニで深夜バイトをして、そこをよく利用するルミという女子高生に想いを寄せていた。
 ある夜、隣の部屋のチャイムがうるさくて、眠れない。
 ドアを開けて覗くと、黒髪が腰まである、ロングコートの大女が延々とチャイムを押していた。
 彼女は、彼と同じ大学に通う山本という男子学生を訪ねてきたようなのだが…。
 これをきっかけに、ヒロシは奇怪なトラブルに巻き込まれていく…」

・「第2話 鍵」
「大女が彼の部屋にポーチを忘れたと電話してきたため、ヒロシは彼のアパートのスペアキーの場所を教える。
 ヒロシがアパートに戻ると、部屋には大女からの手紙と、噛みちぎった爪が落ちていた。
 とりあえず、これで縁が切れたと思ったのだが…」

・「第3話 佐竹」
「飲んだ後、ヒロシは友人の佐竹と共にアパートに行く。
 彼の部屋の前には、あの大女がいた。
 逃げ出す女を、佐竹は追うのだが…」

・「第4話 悪霊」
「レンガを持って、襲い掛かる大女に佐竹は空手の技を叩きこむ。
 しかし、いくらダメージを与えても、全く通用せず、女は彼に挑んでくる。
 このままでは殺してしまうと逃げようとして、逆に女に追われることになる。
 どうにか女から逃れた佐竹は、小学校時代に「悪霊」と綽名された女児を思い出す…」

・「第5話 雨女」
「その女児は「田尻早苗」という名で、ヒロシや佐竹は彼女をいじめていた。
 もしかすると、山本のことはカモフラージュで、本当は復讐のためかもしれない。
 その確認のために、佐竹はバイクで故郷へと向かう。
 また、その頃、大女の標的はルミにも向けられていた…」

・「第6話 田尻早苗」
「佐竹は地元に戻り、小学校の同級生から田尻早苗のことを聞き出す。
 同級生によると、田尻早苗は失踪したとか自殺したとか噂されていたが、実は生きていたらしい。
 それは一か月前の話であったが…。
 その頃、ヒロシの部屋にあの大女が訪ねてくる…」

・「第7話 振り出し」
「調査は振り出しに戻り、大女の正体は全く分からないまま。
 しかも、ルミにまで被害が及び、ヒロシは何とかしないとと焦る。
 その夜、手掛かりを求め、彼はずっと留守にしている山本の部屋に窓伝いで忍び込むと……」

・「第8話 侵入」
「山本の部屋から戻ると、ヒロシの部屋に大女が待ち構えていた。
 襲いかかる女にヒロシは応戦し、懐中電灯で頭をぶん殴るが、こたえた様子はない。
 痛くないのかと尋ねるヒロシに、女は「ホントの痛み」について語る。
 女の右手首にはリスト・カットの痕があった。
 そして、女はナイフを取り出し…」

・「第9話 チェーホフ・6号病室」
「ヒロシは、膝の剥離骨折で病院へと運ばれる。
 看護婦から彼のアパートが全焼したことを聞かされるが、負傷者は彼だけであった。
 しかし、彼は炎に包まれた部屋に女の姿を見ていた。
 女がまだ生きているのだろうか…?」

・「第10話 麻痺」
「夜中、骨折にもかかわらず、彼は着替えて、病室を脱け出す。
 片足で出口に向かうが、病院の中にはあの女が侵入していた。
 彼は逃げきれるのか…?」

・「第11話 風説」
「巷に流れるいろんな噂。
 その中には、大女の噂もあった。
 一人の青年は、その噂に興味があるらしく、いろんな人に聞いて回る。
 だが、誰も彼に本当のことは教えてくれない。
 疲れ果てた青年が公園のベンチに座り込んでいると…」
(「ヤングマガジン」1993年第13号〜第24号掲載分)

 「都市伝説」を題材にした怪奇マンガの原点かつ頂点の一つです。
 「口裂け女」をベースに「ストーカー」の要素を加え、フィクションとリアリティーの配分が実に絶妙!!
 いろいろな分析ができると思いますが、この作品に関しては、様々な方が様々な意見が出されておりますので、私などが付け加える余地はありません。
 しかも、致命的なことに、私はこの作品を怖いと感じたことがほとんどないのです。(注1)
 何故なら、田舎者だから。
 私にとっては、大都会の闇に潜むストーカーやキチガイよりも、善人面して厭らしさいっぱいの田舎の隣人の方が遥かに身近で、忌まわしい存在です。
 田舎の人間は、住んでいる世界が狭い分、偏狭で、そのくせにプライドだけは高く、自分の意に沿わないものは排除しようとする傾向が強いように私は強く感じております。(私の近所だけかもしれませんが…。)
 更に、表立って行動はせず、こちらの知らない間に一方的な「世論」を形成して、集団でじわじわと追い詰めにかかってくるので、非常に厄介です。
 というわけで、個人的に、ホラーの舞台は「都会」よりも、やっぱり「田舎」!!
 ここまで書いて、ちっとも「座敷女」について語ってないことに気が付きました。
 最近、いろいろとありまして、すみません…。

・注1
 同じ大女が出る怪談なら「座敷女」よりも「八尺様」の方が苦手です。
 親戚一同に守られながら、家から脱出するところが怖い…。

2023年1月18日/5月3日 ページ作成・執筆

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