黒田かずお「青い死面」(170円)
「ある夜、探偵に憧れる青年、神山五郎は、若い娘が、気味悪い小人に襲われているところに出くわす。
小人は逃げ出し、五郎は娘を家まで車で送る。
娘は元・豪族の娘で、杉上とも子という名であった。
数日後、五郎は、彼女が誘拐されたという新聞記事を目にする。
父親が止めるのも聞かず、彼は杉上家を訪れ、家長の杉上健蔵に協力を申し込む。
だが、杉上健蔵は、娘の命を最優先するために、五郎はおろか、警察の協力すらも断っていた。
仕方なく帰る途中、五郎は、ピストルを持った、片目の潰れた男に、杉上家の事件に首を突っ込まないよう脅される。
一方、杉上の屋敷には、幽霊紳士を名乗る、先程の片目の潰れた男が、杉上健蔵と面会していた。
この男は神山という名で、杉上健蔵とは、戦争中に中将と大尉という上下関係にあり、杉上健蔵の命の恩人であった。
そのお返しとして、杉上健蔵は神山に、彼の屋敷に伝わる、宝の地図を渡していた。
神山は、娘と引き換えに、この屋敷で宝を探させるよう要求する。
話はまとまり、娘は無事に戻され、杉上家の屋敷には幽霊紳士の仲間が集まる。
一方の五郎は、脅迫にも関わらず、杉上家を周辺で張り込みをしていたが、幽霊紳士にはめられて、監禁される。
だが、見張りの小人を罠にかけ、鍵を開けさせ、脱出する。
その頃、幽霊紳士は宝の地図の謎を解き、そのありかを突き止めていた。
しかし、財宝のありかには恐ろしい罠があった…。
宝を手に入れるのは誰…?
そして、突如、現れては消える、ドクロの顔をした人物の正体とは…?」
少しわかりにくい話でして、解説を書いてようやく内容が掴めました。
ただ、つまらないかと言うと、そんなことはありません。
やけにテンションの高い残酷描写や、蛇毒に耐性があり、全身に蛇を絡みつかせている小人の描写等、なかなか楽しめます。
そして、極め付けが、顔がそのまんま頭蓋骨の「黄金バット」男。
こいつの変身シーンはもはや冗談でしかありません。
しかも、ネタばれですが、こいつは実は主人公の父親で、「太平洋戦争中、生きるために味方の日本兵を殺して、人肉を喰っているうちに、三つの顔に変化するようになった」という危険な設定!!
ぶっちゃけ、ストーリーのわかりにくさは、ほとんどこの設定に起因します。
何とかならなかったのでしょうか?
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。p1、p3、小口に貸本店のスタンプ押印。小口下部にゾッキ線あり。巻末に貸出票の剥がし痕あり。
2017年4月30日 ページ作成・執筆