阿木二郎「午後五時の恐怖」(200円/1964年頃?)



「白滝女学院の有名な時計塔。
 三年前の午後五時、立花美代香という女生徒が投身自殺をした日から、その鐘は鳴らなくなる。
 技術工に視てもらったところ、どこもおかしいところはなく、原因は不明。
 当初は皆、気味悪がっていたが、時が経ち、噂が風化し始めた頃、立花美代香とそっくりな娘が転校してくる。
 彼女は、立花香代美という名で、自殺した立花美代香の妹であった。
 香代美を一目見て、教師の津島は顔色を変える。
 立花美代香の自殺は受験ノイローゼと考えられていたが、実際は、津島教師への失恋を苦にしての自殺であった。
 香代美は何から何まで姉に生き写しであり、津島教師は猜疑心と罪悪感に苛まされるようになる。
 更に、香代美は午後五時に時計台の鐘が鳴ると予告し、それが的中。
 ノイローゼ気味となった津島は、午後五時に鳴る鐘の謎を解くべく、時計台へと昇るのだが…」

 ミステリーかと思いきや、ネタばれですが、幽霊譚であります。
 また、学校を舞台としているのも、当時としては、新機軸だったのではないでしょうか?(まだまだ検証の余地はありますので、推測でものを言ってます。)
 ラストの時計塔でのシーンは、今見ても、まあまあ迫力あると思います。
 まとまりもよく、佳作だと思います。

・備考
 ビニールカバー貼り付け、また、それによる痛みや歪みあり、更に、一部のビニカバが剥がれ痕あり。糸綴じあり。全体的にシミや汚れ多し。巻末に貸出票貼り付けと書き込みあり。

2018年9月6日 ページ作成・執筆

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