阿木二郎「冷凍少女」(200円)
「義明は、冷房の効いた喫茶店で、奇妙な少女を目にする。
彼女は、店員がアイスピックで氷を砕くのを見ると、真っ青な顔で悲鳴を上げ、外にとび出してしまう。
義明は彼女を止めようとするが、彼女の手は氷のように冷たかった。
彼女の落とした手帳から、彼女の名は武内亜砂子であることを知り、彼は彼女の家に手帳を届ける。
母親はいい顔をしなかったが、義明と亜砂子はデートをすることとなる。
亜砂子は、真夏というのに冬のような厚着をして、義明が理由を聞いても、寒がりだからとしか答えない。
それどころか、製氷会社でトラックから降ろされている氷塊を目にすると、彼女は恐怖の叫びをあげて、失神する。
気絶した彼女の身体は驚くほど、冷たかった。
彼女を家に運んだ義明は、病気を理由に、亜砂子との付き合いを母親から断られる。
亜砂子のことが忘れられず、彼は独自に彼女の調査を開始。
学校の担任に話を聞くと、まだ彼女は中学二年生で、冬期は長期欠席をするためであった。
冬のある日、彼は運よく彼女をデートに誘う。
だが、デパートのガラス器売り場で、彼女は再びヒステリーを起こす。
彼女にはガラスが氷に見え、ガラス器を破壊しまくった挙句、意識を失う。
義明は彼女の「氷」恐怖症は、過去の何らかの出来事に原因があるらしいと考えるのだが…。
そして、亜砂子を監視する、黒眼鏡の男の正体は…?」
「冷凍少女」というタイトルから「雪女」のバリエーションの一つかと思いましたが、全く違いました。
超「寒がり」少女の話で、彼女の「寒がり」が過去のトラウマに起因することを徐々に明らかにするミステリーです。
ミステリーと言っても、そこまで深刻なものでなく、阿木二郎先生(aka 鈴原研一郎先生)の作品ですので、いい塩梅にユルく、ライトです。
今現在から見たら、他愛のない作品かもしれませんが、当時の読者には斬新で「すこし・ふしぎ」な作品だったのかもしれません。
でも、タイトル・ページで「ISE GIRL」と思いっきり間違っているのはどうかと思う。(「MISTERY」「PIONEES」「PICTWRES」も違うし…。)
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。読み癖があり、全体的に汚れ・シミ、裂け多し。pp13・14、下部にコマにかかる裂けあり。pp48・49、何かが挟まったのか、汚れあり。巻末に貸出票貼り付けと鉛筆による書き込み。
2018年8月21日 ページ作成・執筆