吉倉健「日本妖怪伝」(160円)
「無念流の使い手、土屋新六郎は、新刀試しのお役目。
新しい刀の切れ味を試すため、彼は何十人と罪人の首をはねてきた。
新六郎は、罪人の中には無実の者もいるのではと思い、良心の呵責に苦しめられる。
ある日、彼はいつものように、罪人で刀の試し切りをするが、斬った相手は何の罪科もないことが事後、明らかになる。
これをきっかけに、お役御免の決意を固めるが、その夜、今まで斬殺した者達の怨霊が大挙して現れる。
怨霊に襲われ、新六郎は床に臥せるようになり、遂には、祟り殺されてしまう。
新六郎の息子、信吾にも怨霊達の魔の手が迫るが、旅の僧侶からもらった数珠でかろうじて撃退。
家禄を継いだ信吾は、父親と同じく、新刀試しの役目も引き継ぐ。
人並み外れた腕前で信吾の名は広く知られるが、同時に増長・慢心していく。
また、剣の試し切りをしているうちに、人を斬ることに快感を覚えるようになる。
血に飢えた彼は辻斬りを働き、次々と人の命を奪っていくのだが…」
「首切り役」を主人公に据えた作品です。(恐らく、原作小説があると思います。)
吉倉健先生の初期の作品と思われますが、丁寧に描かれており、なかなか面白いです。
ただ一つ残念なのは、「日本妖怪伝」のタイトルのくせに、妖怪は出てきません…。(幽霊は出てきます。)
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。カバー痛みや欠損、染み、ひどし。糸綴じあり。見開きの一部、パラフィン紙の貼り付け。p58、シミがひどい。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2018年11月28日 ページ作成・執筆