久留見幸守「生首妖怪城」(190円)
「ある城下町で夜、侍の首が切断され持ち去られるという事件が連続して起きる。
犯人は紫頭巾の女であったが、恐ろしく腕が立ち、役人たちの包囲を突破し、城の付近で姿を消す。
その夜、殿の付き人である倉石左近は城内で見慣れぬ女を目にする。
腰本かと思い、彼が声をかけると、女は急に逃げ出し、玉路姫の部屋あたりで見失う。
左近は玉路姫の部屋を訪れるが、姫はそんな者は来なかったと答える。
しかし、左近は姫から血の臭いをかすかに感じ取っていた。
この出来事に加え、玉路姫は半年前の失踪騒ぎの後から様子がおかしくなっており、左近は疑惑を深める。
更に、殿の身にも奇怪な出来事が起こる。
藤という少女の亡霊が殿の枕元に現れ、誕生日までに命を奪うと予言したのであった。
十八年前、洪水の後で城の改修工事が行われたが、その際、秘密の地下道の復旧工事も行われる。
藤の父親、徳兵衛はこの工事に関わり、秘密保持のため、工事の後に毒殺。
これを知った藤は城の侍たちを憎みながら、堀に身を投げ、その死体は遂に見つからなかった。
左近は紫頭巾の女を見張り、彼女が城の守護神を祀るお宮に出入りしていることを突き止めるが…。
紫頭巾の女の正体は…?」
冒頭が久留見幸守「怨霊生首供養」(一晃社)の再使用ですが、それ以外は別のストーリーです。
残念ながら、宏文堂ではそこまではっちゃけることができなかったようで、エロ度は微塵もありません。(求める方が間違ってますが。)
ラストもあっさりし過ぎで、以前よりも全体的にトーン・ダウンした印象を受けました。
ただ、殿の誕生日のシーンで「時計」が出てくるのが興味深かったです。
あの時代の日本に時計があったのかどうかは置いておいて、時刻を表すところが「十二支」で表示されており、作画がかなり面倒臭かったのではないでしょうか?
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり。糸綴じあり。pp77・78、コマ内に小さな欠損。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と書き込みあり。
2024年3月10日 ページ作成・執筆