黒岩一平「野獣伝」(200円)
「新発田藩の藩主、溝口重雄は、悪夢に悩まされ、徐々に発狂する。
藩医である長井清左衛門は手を尽くすが、有効な手を打つことができない。
そういう時、息子の長井源一郎が、町に狂人を治す医者がいるという情報を持ってくる。
藁にもすがる思いで、その医者を尋ねると、医者は清左衛門にイタドリという根をくれる。
医者のいう通りに殿に処方したところ、効き目は抜群。
効果は一日だけだけだが、これを半年間飲ませたら、全快するとのこと。
しかし、イタドリの根が足りないので、長井清左衛門と源一郎、お供に石川十兵衛と的場伝十郎の四人で、その根が取れるという甲武信岳に赴く。
イタドリの生育している場所を見つけたが、水を汲みに行った石川十兵衛が谷に転落、行方不明になってしまう。
その石川十兵衛は、老婆とその孫の少女に助けられ、山家で手当てを受けていた。
老婆と少女は武田家にゆかりのある者達で、武田家三代を祀っていた。
石川十兵衛は仏壇に置かれてある黄金の仏像に目がくらむ。
翌日、石川十兵衛は少女に送ってもらい、皆のもとに戻るが、十兵衛は的場伝十郎にこの仏像の話をして、強奪を決意。
二人は山家に戻って、老婆を殺害するが、孫娘が仏像を持って逃げてしまう。
追う二人だが、孫娘の策にはまって、谷底の奥深くに迷い込んでしまう。
そこで、毒虫に刺された二人は、凶暴な野獣へと化してしまうのだった…」
「魔風吸血剣」や「幽鬼」と比べると、描線が細くなってきてます。(画風の変化でしょうか?)
個人的に、中途半端な内容でありまして、あまり印象に残らない作品であります。
・備考
非貸本? 目立つシミや汚れ、多し(pp23〜56、106)。後ろの遊び紙に貸出票(?)の剥がし痕あり。
平成27年12月3日 ページ作成・執筆