黒岩一平「幽鬼」(200円)

「お甲は、蜘蛛姫という名前の蜘蛛に芸をさせて、日銭を稼ぐ少女。
 手の不自由な弟の栄作に治療を受けさせるために、かなりの量の銭を壺に貯めていた。
 この壺に目をつけたのが、目明しでありながら、実は悪党の平六。
 この時ちょうど、殿様の指南役、田島右京之介から刀の試し切りをしたいという、内密の話が平六にある。
 これを機会にお甲と栄作を殺してしまえば、壺は自分のものになると、平六はお甲をだまして、夜、人気のない川岸に連れ出す。
 お甲は田島右京之介に突如斬りつけられるが、手傷を負いながらも、見の軽さを武器にどうにか逃れる。
 傷の癒えた、お甲は復讐を決意。
 蜘蛛姫を使い、まずは平六を襲い、身体の麻痺している平六から首謀者の名前を聞き出す。
 邪魔が入り、平六は始末できなかったものの、次は田島右京之介の命を狙う。
 しかし、襲撃は失敗。
 蜘蛛姫は田島に殺されてしまい、お甲は出刃包丁一本で田島に襲いかかるが、足を斬られてしまう。
 お甲は源おじのもとに逃げ込むと、そこへ平八がやってくる。
 一計を案じた源おじは平八を酒で酔い潰させると、庭に穴を掘り、底に樽を据えると、中にお甲を入れて、空気穴だけ残して、土中に埋める。
 平八が帰るまでの間の辛抱のつもりだったが、お甲の衣服が見つかったことにより、源おじは田島の屋敷に連行されてしまうのだった…」

 ストーリーがちょっぴり行き当たりばったり、かつ、尻切れトンボなのが残念ですが、トータルなクオリティーは高いと思います。
 個人的な印象では、太平洋文庫で描かれたマンガと違って、宏文堂で描かれたマンガは丁寧に描かれているようです。(締切が厳しくなかったとか…?)
 橋本将次先生のムダのない、達者な描線がまさしく職人技の域に達しております。

・備考
 ビニールカバー貼り付け。上部に水濡れの痕あり(最初の方がひどいが、コマにはかからず)。幾つか目立つシミや汚れあり。後ろの遊び紙に貸出票貼り付け。



平成27年12月2日 ページ作成・執筆

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