どやたけし・藤原栄子「美少女」(220円/1966年頃)



・どやたけし「美少女」
「臼井育夫は、一年前に恋人の裕子を海で事故死させてしまったことをいまだに引きずっていた。
 ある日、彼は、ある画廊にぶらりと入る。
 そこでは「モダンフォト会員 新作発表会」が開催されており、展示作品の一つに、古びた教会を写した写真があった。
 彼はその写真に、裕子の後ろ姿を目にする。
 更に、毎日、画廊に通ううちに、写真の中の裕子は徐々に教会に近づいて行く。
 展示会の最終日、裕子は教会の中に入ってしまい、彼は、画廊の主人に写真の撮影者について尋ねる。
 彼は、撮影者に教会の場所を教えてもらい、八幡平へ向かうのだが…」

・藤原栄子「セレーネの泉」
「チャーリーは自然と孤独を愛する青年。
 彼はいつも森で一人、過ごしていたが、ある日、美しい乙女と出会う。
 乙女はすぐに立ち去り、彼の心に美しい面影を残す。
 その翌日、セレーネの祭りにて、彼は、白いベールで顔を隠した乙女と再会する。
 彼女は彼が森で落とした本を届けに来たのだが、村娘の一人、リンダはそのベールを引っ剥がす。
 リンダは乙女の顔を見ると、顔色を変え、彼女はセレーネだと言う。
 セレーネとは村を創った天使であったが、愛人を村人に殺されたことから、村に禍をもたらすようになる。
 そこで、村人達は年に一度、セレーネの供養のために、「セレーネの祭り」を開催していたのであった。
 リンダの制止も聞かず、チャーリーは乙女を追って、森へと向かう。
 彼は、セレーネの呪いがかかっていると伝えられる泉がある所まで足を踏み入れるのだが…」

 どやたかし先生「美少女」は、モンタギュー・ローズ・ジェイムズ「銅版画」が元ネタでしょう。
 うまくアレンジしており、読ませます。
 藤原栄子先生「セレーネの泉」は、先生が高校三年生の頃の作品です。
 横山プロでは「新進天才少女作家」で、目次ページのイラストも藤原先生によるものです。
 横山まさみち先生に見出されただけあって、なかなか堂に入った描きっぷりです。

・備考
 ビニールカバー貼り付け(どうも一度ビニールカバーを剥がした後で、またビニールカバーをした模様)。ビニールカバーに他の貸本のカバーらしき色の貼りつき。糸綴じあり。後ろの見開きに貸出票の剥がし痕、ボールペンでの書き込みあり。

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