東田健二「幻妙寺奇談」(150円)



「豹之助と小太郎の兄弟は、父の亡くした後、母の志津と共に杖塚の地を訪ねる。
 幻信は志津の兄、かつ幻妙寺の和尚で、志津たちをこの地に呼び寄せたのであった。
 だが、再会を喜ぶ暇もなく、彼らは塔藤影高が牛を追っているところに遭遇し、小太郎は死亡、志津は片足を折る。
 杖塚の領主、塔藤影高は暴君で、乱行の限りを尽くしていた。
 更に、影高の子分、高倉は彼らを殿に無礼を働いたと言いがかりをつけ、捕らえようとする。
 豹之助は手向かうも、左目と左腕を傷つけられ、危ういところを幻信に助けられ、逃亡。
 一方の幻信は影高により幻妙寺の本堂に火を付けられ、自分は幻妙門に縛り付けられた後、槍で突き殺される。
 志津は幻信に豹之介を捜すよう言われ、幻信になついていた黒猫と共にこの地を去る。
 それから十年の歳月が流れたある日、幻妙門に白髪の老婆となった志津が戻って来る。
 また、氷極奇角(つらら・きかく)と名乗る、片目の浪人もその場に現れる。
 彼は懐に蝙蝠を飼う剣の達人であったが、その正体は豹之助であった。
 豹之助はあるきっかけから大津兵庫という老人の命を助ける。
 大津兵庫は影高に娘の千代を城に差し出せという要求を拒んだために命を狙われていた。
 しかし、千代は高倉にだまされ、城に連れて行かれてしまう。
 豹之助は千代を救い、影高への復讐を果たす覚悟を決める。
 その頃、志津は高倉により幻妙門を倒され、その下敷きとなる。
 どこからか母の声が聞こえた豹之助は幻妙門に向かい、瀕死の母親と再会する。
 以来、影高と高倉の周辺では志津の黒猫が現れ、奇怪な出来事が次々と起こるのだが…」

 東田健二先生の作品としては、まあまあわかりやすい作品です。
 領主の塔藤影高が祟りに錯乱して子供返りしてしまうのが味わい深いです。
 ラストはちょっぴり悲惨で、ハッピーエンドでも良かったと思うけど…。

・備考
 パラフィン紙(?)の剥がし痕あり。カバー痛みあり。pp3〜6、綴じ外れ。後の見返し、破損大。後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕と書き込み。

2023年4月27日 ページ作成・執筆

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