橋本将治「破れ法師」(160円)
・橋本将治「破れ法師」
「覆面の侍達に追われ、瀕死の侍。
侍は通りすがりの浪人、生月狂四郎に、銘刀破れ法師を大御所(徳川家康)に渡すよう頼んで、事切れる。
破れ法師を抜くなと言われたものの、そう言われれば、抜きたくなるもの。
狂四郎が抜くと、月光に怪しく光る、それはまさしく魔剣。
狂四郎は、追っ手達を血祭りに上げ、破れ法師をちゃっかり自分のものにするのだった。
宿に戻っても、魔剣は血を求めて、「ヒーヒー」鳴いている。
剣に血を吸わせに外出すると、橋のところで、名のある道場主に会う。
狂四郎は道場主と連れの者を斬殺、翌日にはわざわざ道場に自分から赴き、仇討ちの手はずを整えてやるのだった。
月夜、道場主の長男と次男は狂四郎と対決するが、あっさり返り討ち、一斉に襲い掛かる門弟もことごとく魔剣の餌食となる。
結局、道場は狂四郎に乗っ取られ、道場は盛況となる。
一方、仇討ちに反対した、道場主の三男は山に籠もり、不動明王に魔剣を破る手立てを祈願していた。
半年後、祈りが通じ、霊験を得た三男は、狂四郎を討つべく、道場を訪ねる…」
表紙を見て、忍者ものかと思いきや、「ショーグン・アサシン」ばりのスプラッター時代劇なのであります。
首や腕が乱れ飛び、胴切りされて上半身だけが地面に投げ出されたり、顔面を叩き割られたりするという描写がてんこ盛りです。
橋本将治先生の貸本マンガは残酷描写がキツいものが多いのですが、兎月書房の時代から、ここまでやるとは流石です。(まあ、兎月書房には、作品に入手不可能な値段のつく、アンダーグラウンドの中のアンダーグラウンドなマンガ家さんばかりですので、凄いのかどうか、比較はできないのですが…。)
魔剣ネタは、宏文堂での黒岩一平・名義「魔風吸血剣」にも描かれておりまして、あちらでも魔剣は「ヒーヒー」喚いておりました。
70ページちょっとの作品ですので、冗漫なところがないので、なかなかいいと思います。
・松野たけし「秘剣七変化」
「柳生但馬守を訪ねる、若き侍。
侍の名は坂崎三十郎。彼の父は上意により但馬守に討たれていた。
ことの起こりは、大阪夏の陣。炎の中に取り残された千姫を助け出した者には千姫をつかわし、お取立てになるという言葉を信じ、三十郎の兄は猛火の中に入り、千姫を無事助け出す。しかし、顔半分は焼けただれた上、約束は反故にされ、親友であった但馬守に上意討ちになってしまう。
三十郎は、坂上家復興を目指し、柳生但馬守に協力を要請。
彼は、但馬守が断ることができないように、将軍指南役の柳生流が忍者の剣であることを示す本を見せる。
そして、この本を巡り、様々な思惑が交錯するのだった…」
・備考
糸綴じあり。カバー若干破れ。後の見返しに貸出票を剥がした痕あり。
平成27年1月27日 ページ作成・執筆